EPAは2025年から2028年にかけてHFC使用を削減する「技術移行(Technology Transitions)」最終規則を公表。
・新しい空調・冷凍システムは、利用可能な場合には低GWP代替冷媒へ移行。
・冷媒は、大半の冷凍用途でGWP150以下、エアコン・ヒートポンプではGWP700以下である必要あり。
・提案規則には、HFC漏洩削減、回収・リサイクル・再生利用の促進も盛り込まれる。
・2028年までに新しい機器の大部分が100%再生冷媒を使用することが求められ、循環型経済を後押し。
米国環境保護庁(EPA)は、強力な温室効果ガスとして知られるハイドロフルオロカーボン(HFC)の段階的削減に向け、「技術移行(Technology Transitions)」最終規則をAIM法(American Innovation and Manufacturing Act)の下で発表した。この規則は、2025年から2028年の間に新しい冷凍機器、空調機器、ヒートポンプで高GWP冷媒の使用を制限するもの。
規則では、ほとんどの冷凍システムでGWP150以下、空調およびヒートポンプでGWP700以下の冷媒の使用を義務付ける。これらの基準はカリフォルニア州の厳格なHFC政策を反映しており、CO₂、プロパン、アンモニアなど自然冷媒を含む気候に優しい冷媒への移行を加速させると期待される。
さらにEPAは、HVACシステムからの漏洩削減やHFCの回収・リサイクル・再生利用を改善するための提案規則も発表。これらは連邦官報に掲載後、60日間のパブリックコメントを経て検討される。
AIM法の下、米国は2024年までにHFC消費を40%削減、2036年までに85%削減することを約束している。提案規則はさらに一歩踏み込み、2028年以降は大半の新機器に100%再生冷媒の使用を義務化する内容となっている。これにより、機器設計の革新、HVAC業界における循環型の取り組み促進、そして長期的な気候目標の達成を後押しする見込みだ。
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