- サムスンが独フレクトグループを15億ユーロで買収しHVAC事業を拡大
- フレクトグループはデータセンターや病院向け高信頼性HVACシステムを提供
- サムスンの成長戦略としてHVAC市場への注力を明言
- b.IoTとFläktEdgeの統合で建物制御とエネルギー管理を高度化
- 北米ではLennoxとの合弁設立により市場展開も加速中
高成長が期待されるデータセンター冷却市場で、グローバルHVACリーダーを目指
サムスン電子は、HVAC(空調・換気・冷房)ソリューションのグローバルリーダーである独フレクトグループ(FläktGroup)を15億ユーロで買収する契約を締結したと発表しました。これにより、急成長する応用HVAC市場での地位を大幅に強化し、データセンター冷却ソリューションを中心に事業拡大を図ります。
フレクトグループは、100年以上の技術力とカスタマイズ対応力を強みとし、データセンター、空港、病院、博物館など、高信頼性が求められる施設向けに高効率HVACシステムを提供。液冷・空冷両方の最先端技術を有し、カーボンフットプリント削減にも貢献しています。
サムスンはb.IoT(建物統合制御)とフレクトのFläktEdge(HVAC制御)を統合し、建物全体の空調・エネルギー管理の高度化とサービス事業の拡張も計画中。また、2024年にはLennox Internationalとの合弁を設立し、北米市場への展開も加速しています。
市場調査によれば、応用HVAC市場は2024年の610億ドルから2030年には990億ドルに成長見込み(年平均8%成長)、データセンター冷却市場は年平均18%とより高い成長が予測されています。生成AI、ロボティクス、自動運転、XRなどの技術拡大が冷却ニーズを一層高めており、今回の買収はその戦略的対応と言えます。
キーワード
- HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning):建物内の空気品質と温度制御を担うシステム。快適性・安全性・エネルギー効率に貢献。
- データセンター冷却:大量の発熱を伴うサーバー機器の冷却を行う高度な空調ソリューション。成長市場として注目。
- b.IoT / FläktEdge:それぞれサムスンとフレクトが提供する建物統合制御・HVAC制御プラットフォーム。統合で高度な制御・サービスが可能に。
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