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ヒートポンプ不調の2023年:欧州で販売5%減、10年の成長にブレーキ

  • 欧州16か国でヒートポンプ販売が前年比5%減、10年ぶりの縮小
  • ガス価格の低下と電気料金高騰が経済的メリットを弱体化
  • フィンランドやイタリアなどで大幅減、ドイツやオランダは成長
  • 政策の不透明さが消費者・メーカー双方に影響
  • 安定的な支援策がなければ2030年の6000万台目標に赤信号

ガス価格の低下、経済停滞、政策の不透明さ──REPowerEU目標達成に黄信号

2023年、欧州のヒートポンプ市場は約10年ぶりに縮小しました。欧州ヒートポンプ協会(EHPA)の最新報告によると、欧州主要16か国(市場の約90%を占める)での販売台数は、2022年の277万台から264万台へと5%減少。この落ち込みは、複数の経済・政策要因が重なった結果とされています。


■ なぜ売上が落ちたのか?

  • 天然ガス価格の下落:2022年のエネルギー危機後にガス価格が安定し、ヒートポンプの経済的優位性が薄れた
  • 電気代の高さ:電気料金の高止まりにより、消費者が二の足を踏む状況に
  • 経済停滞とインフレ:金利上昇やインフレにより、家庭の設備投資意欲が低下
  • 政策の不透明さ:EUの「ヒートポンプ行動計画」の遅延や補助金制度の見直し議論が、市場の不安要因に

■ 国別の明暗:

📉 大幅減少国

  • フィンランド:-42%
  • ポーランド:-38%
  • デンマーク:-36%
  • イタリア:-33%
  • フランス・スウェーデン:中程度の減少

📈 成長継続国

  • ベルギー:+72%
  • ドイツ:+59%
  • オランダ:+53%
  • ポルトガル:小幅増

🇳🇴 ノルウェーやスイスなどは安定推移


■ それでも“ヒートポンプ離れ”ではない

報告書は「ヒートポンプの役割は依然として中核的」だと強調。販売台数は減ったものの、設置全体の傾向はガスボイラーからクリーンヒーティングへ確実に移行しています。

専門家は次のような再成長への処方箋を提示:

  • 電気価格の調整とエネルギー課税の見直し
  • 明確かつ安定した補助金スキームの整備
  • 施工技術者の育成とインフラの強化
  • EUレベルでの「ヒートポンプ行動計画」の早期確定
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