AI時代の熱課題に挑む――液体冷却技術でエネルギー効率と持続可能性を高める
アイルランドのCorkに本社を置くJohnson Controlsは、2025年10月6日、データセンター向け液体冷却技術を開発する米Accelsiusへの数百万ドル規模の戦略的投資を発表しました。Johnson Controlsは「スマートで持続可能な建物づくり」の分野で世界的に知られており、今回の投資はAI時代のデータセンターが直面する冷却エネルギー問題の解決を目指すものです。
データセンターの冷却は、施設全体のエネルギー消費の30〜40%を占めると言われており、AIや高性能コンピューティング(HPC)の普及でさらに負荷が高まっています。こうした背景の中、Accelsiusが開発する二相式(two-phase)直接液冷技術(direct-to-chip liquid cooling)は、液体が蒸気に変わる「相変化」を利用して熱を効率的に取り除く仕組みで、従来方式よりも35%の運用コスト削減、さらに8〜17%の総所有コスト削減を実現できるとされています。
今回のAccelsiusへの投資により、Johnson Controlsは液体冷却分野でのリーダーシップをさらに強化し、今後のAI需要拡大に伴うデータセンターの冷却課題に対応していく構えです。特にエネルギー効率や水使用量の削減といった環境面でのインパクトは大きく、今後数年でデータセンターのサステナビリティ基準を塗り替える可能性があります。