- 米9州が住宅用ヒートポンプ出荷比率を2030年までに65%、2040年までに90%に引き上げる目標を発表
- 建築物の脱炭素化と電化を推進し、州間連携による研究・資金共有を強化
- LG、三菱、Carrierなど大手メーカーが公式に賛同
- 2022年にはヒートポンプ販売がガス炉を初めて上回るという市場変化も
- 長期的普及の鍵は安定した政策、補助金制度、技術革新の継続
電化と建物脱炭素化に本腰──州間連携で普及支援と技術投資を加速、業界大手も支持
2024年2月7日、アメリカの9州が共同で、住宅用暖房および給湯機器の出荷比率の65%を2030年までにゼロエミッションのヒートポンプへ移行させるという目標を設定しました。2040年にはこの比率を90%にまで引き上げる計画で、住宅の電化と環境保護を推進する戦略の中核と位置づけられています。
■ 対象の9州と背景
このイニシアチブに参加した州は以下の通り:
- カリフォルニア
- コロラド
- メイン
- メリーランド
- マサチューセッツ
- ニュージャージー
- ニューヨーク
- オレゴン
- ロードアイランド
これらの州はいずれもU.S. Climate Allianceのメンバーであり、2023年には「2030年までにヒートポンプ導入を4倍に増加させる」共同声明も発表しています。
■ 共同目標の主な意義
- 住宅分野の脱炭素化加速:建築物の温室効果ガス削減を主導
- 研究開発と補助金スキームの共通化:州間で資源と知見を共有
- 産業界との連携強化:業界大手が賛同を表明
■ 賛同企業と業界の動き
以下の主要ヒートポンプメーカー・OEM企業が州の目標に賛同:
- LG
- 三菱電機
- サムスン
- Trane Technologies
- Johnson Controls
- Fujitsu Airstage
- Carrier
- A.O. Smith
■ 市場動向:2022年の転換点
注目すべきは、2022年に米国で初めて住宅用ヒートポンプの販売台数がガス炉を上回ったという事実。これはエネルギー効率の高い電化製品への関心の高まりを示す象徴的な出来事ですが、市場構造を抜本的に転換するには政策と支援の継続が不可欠です。
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