- 欧州ヒートポンプ市場の不振により、NIBEが大規模コスト削減策を発表
- スウェーデン国内で約340人を削減、他の欧州拠点でも同様の動き
- 気候技術の成長を信じつつ、回復に備えた組織の最適化を図る
- CEOは「忠実な社員を失うことは苦渋の選択」と述べ、慎重に対応
- 市場回復後に備え、競争力ある組織への変革が急務とされている
販売不振を受けたコスト削減策で組織最適化へ──回復期を見据えた“強固な土台作り”を目指す
2024年初頭、欧州ヒートポンプ市場での需要急落が顕在化し、その影響を受けてスウェーデンのNIBEグループは2月16日、コスト削減計画を発表しました。対象は主にNIBE Climate Solutions部門における人件費と間接費であり、グループは現在、欧州全域の販売低迷に対応した人員再編交渉に着手しています。
■ スウェーデンで340人削減、欧州でも同様の動き
この計画により、スウェーデン国内で約340人が削減対象に。内訳は、NIBE ABで264人、CTC ABで40人。さらに、他の欧州拠点でも同様の交渉が進行中であり、グループ全体での構造調整が本格化しています。
■ CEOコメント:「これは苦渋の決断だが、必要な一歩」
CEOゲルテリック・リンドクヴィスト氏は、次のように声明を発表:
「我々は長年、脱化石燃料社会と炭素排出削減の成長可能性を信じて投資を続けてきました。現在の市場状況は困難ですが、市場回復後に強固な体制で立ち上がれるようにするための判断です。」
■ 背景にある“ヒートポンプ市場の転換点”
欧州ヒートポンプ業界は、2022年のエネルギー危機後に一時的な需要急増を経験したものの、2023年には電気料金の高騰、ガス価格の低下、政策の不透明化などが重なり販売台数が約5%減少。この動きは、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデンなど多くの国で顕著に見られました。
■ NIBEの戦略:一時的縮小からの回復準備
今回の削減は短期的には厳しい決断ですが、**中長期的には「再成長のためのリサイズ戦略」**と捉えられています。
グループは今後も、製品開発・気候技術の分野での優位性を維持しながら、市場回復時に備えるとしています。