ラックレベルのハイブリッド冷却技術で次世代データセンター需要に対応
2025年8月18日、ミネアポリス――ダイキンアプライドは、カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置くDDCソリューションズを買収したと発表しました。これにより、データセンター市場に特化したポートフォリオを拡大し、ホワイトスペース冷却からラックレベルまでをカバーする包括的なソリューションを提供できる体制を整えます。
DDCソリューションズは、特許取得済みの自律型ハイブリッド冷却システムを持ち、空冷と液冷をラック内部で統合する独自設計を採用しています。従来の空調方式やプレナム方式とは異なり、熱の除去をラック内で完結させることで運用効率を高め、コストのかかる大規模インフラ改修を不要にします。さらに、ラックには優れた防火・防水性能が備わり、騒音低減にも寄与します。また、内蔵のインフラ管理ソフトウェアによって、リアルタイムで監視・自動調整が可能となり、きめ細やかな冷却制御を実現します。
DDCの技術は、AIやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)といった超高密度な処理負荷にも対応可能で、1ラックあたり最大1MWを超える冷却能力を備えています。これにより、従来のデータセンターの制約を超えて、次世代のコンピューティング需要に応える基盤を提供します。
買収完了後も、DDCソリューションズはダイキンアプライドの子会社として独立運営され、既存の経営陣がそのまま事業を継続します。DDCのCEOであるキース・マークリー氏は、「ダイキンのリソースによって、私たちは世界的に拡大するデータセンター需要にこれまで以上に高いレベルで応えることができる」と述べています。
今回の買収は、ダイキンがHVACの分野で培った知見をさらにデータセンターへと深く展開し、AI時代のインフラを支える冷却の最前線を担うことを示す重要な動きといえるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- ハイブリッド冷却システム:空冷と液冷を組み合わせ、ラック内部で効率的に熱を除去する仕組み。インフラ改修を不要にし、効率性を大幅に向上。
- ラックレベル冷却:サーバーラックごとに冷却を最適化する方式。次世代チップセットやAI/HPCのような高負荷環境に対応可能。
- データセンターインフラ管理ソフトウェア:ラック単位でリアルタイムに監視と自動制御を行うシステム。省エネ・安定稼働・リスク低減を支える。
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