SSD世代4での認定を突破、次世代半導体とAI需要に対応する省エネ冷却技術が加速
2025年8月13日、米Chemours社は、同社のOpteon™二相浸漬冷却液がサムスン電子の第4世代SSDで正式に認定されたと発表しました。これは、AIや次世代チップの普及に伴って高まるサーバーの発熱・エネルギー課題に対し、新たな冷却方式が本格的に採用へ向かう大きな一歩です。
この冷却液は、液体を直接サーバー部品に浸す「二相浸漬冷却方式」を採用し、従来の空冷や他の液冷方式に比べて、消費電力を最大40%削減、冷却エネルギー使用を最大90%削減、水使用量ほぼゼロという高い省エネ性能を持ちます。加えて、サーバーの故障リスク低減やスペースの約60%削減にもつながります。
今回の認定では、サムスン、Chemours、タンク製造のLiquid Stack社、半導体・データセンター大手のPKI社が協力し、商用規模の48U浸漬冷却タンクで性能試験を実施。互換性、耐久性、性能のすべてで基準を満たし、劣化の兆候は一切見られませんでした。サムスンはこの技術を、SSDやDDRモジュールなどのメモリー、さらにロジック半導体パッケージにも適用する計画です。
今後の展開としては、サムスンの第5世代、第6世代SSDへの認定試験が控えており、同時にデータセンター業界全体への普及も期待されています。もし広く採用が進めば、AIや高性能コンピューティング向けのデジタルインフラは、省エネ・省スペース化と高信頼性を両立しながら急成長する可能性があります。地域コミュニティへの電力・水資源負荷の軽減にも直結するため、環境面でのインパクトも大きいでしょう。
重要キーワード3つの解説
- 二相浸漬冷却
サーバーや半導体部品を冷却液に直接浸し、液体が気化と凝縮を繰り返すことで効率的に熱を奪う冷却方式。空冷や一般的な液冷よりも高効率で、AIサーバーなど高発熱機器に向く。 - Opteon™
Chemours社が開発した高性能冷却液シリーズ。環境への負荷が少なく、熱伝達性能と部品との互換性に優れている。今回の認定により、サムスンSSDでの使用が正式に可能になった。 - PUE(Power Usage Effectiveness)
データセンターのエネルギー効率を示す指標。1に近いほど効率が高い。Opteon™による冷却はPUEがほぼ1に迫る性能を実現できる。