- 欧州議会と理事会が建物指令(EPBD)改正案で暫定合意
- 2030年以降の新築建物はゼロエミッション基準を満たす必要
- 太陽光設置義務化、非住宅建物に最低性能基準を導入
- 住宅のエネルギー消費を2030年までに平均16%削減
- 化石燃料ボイラーは2040年までに段階的廃止へ
化石燃料ボイラー2040年までに段階廃止、住宅のエネルギー消費16%削減へ──建築分野が脱炭素の中心に
2023年12月7日、欧州議会とEU理事会はエネルギー性能建物指令(EPBD)改正案について暫定合意に達しました。これは「Fit for 55」パッケージの一環であり、2050年までにEUの建物ストックをゼロエミッション化するという大きな目標を掲げています。
🏛 主な合意内容のポイント:
✅ 2030年以降の全新築建物はゼロエミッションへ
新築建物には厳格なエネルギー性能基準が適用され、再生可能エネルギーによる運用が求められます。
☀ 太陽光設置の義務化
公共建物や大規模改修を伴う非住宅建物、新築建物には太陽光発電の導入が義務化されることが決定。
🏢 最低エネルギー性能基準(MEPS)
非住宅建物に対しては以下の段階的規制が導入されます:
- 2030年までに最下位16%のエネルギー性能建物を改善
- 2033年までに最下位26%の建物を改善対象に
🏠 住宅の平均エネルギー消費を2030年までに16%削減
さらに2035年までに20~22%の削減を目指し、55%は最も性能の悪い建物から削減されることが明記されました。
🔥 化石燃料ボイラーの段階的廃止も明記
- 各国の「国家建物改修計画」に、2040年までの化石燃料ボイラー廃止ロードマップの策定が義務付けられます。
- これは既存住宅の熱源システムの全面電化・ヒートポンプ化を促進する大きなステップです。
📆 次のステップは?
今回の暫定合意は、今後欧州議会と理事会の正式な採択を経て発効される予定です。改正EPBDは、2021年12月に欧州委員会から提出され、建物部門の脱炭素とエネルギー効率化の鍵とされてきました。
🔍 背景と意義
建物はEUの最終エネルギー消費の40%、**温室効果ガス排出の36%**を占めています。今回の改正は、「改修ウェーブ戦略」とも連携しており、年間改修率を2030年までに倍増することも目的の一つです。