- ニューヨーク州とワシントン州は温暖化対策の一環として、冷媒に使われるFガスの規制を強化。
- ニューヨークでは2034年までにGWPが10を超える冷媒の使用が段階的に禁止。
- ワシントンでは2025年以降、高GWP冷媒を使用する新機器の販売が禁止され、漏洩対策も強化される。
冷媒の地球温暖化係数に基づく新規制が商業・産業用冷却設備に大きな影響
詳細 ニューヨーク州では、2024年12月に新たなFガス規制(6 NYCRR Part 494)が正式に施行されました。この規制では、従来の100年GWP(地球温暖化係数)ではなく、20年GWPを基準とし、より短期的な温室効果を重視しています。
対象となる設備には、スーパーマーケット設備や冷蔵倉庫、チラー、家庭用エアコンなどが含まれ、それぞれの使用開始日からGWPが一定値を超える冷媒の使用が禁止されます。たとえば、2034年からはGWP20が10を超える冷媒の使用が全面的に禁止されます。
一方、既存設備については寿命を迎えるまで使用可能です。また、州は中小企業支援のため、冷蔵設備の移行を支援する助成金プログラムの策定を進めています。
ワシントン州では、2024年に新たなFガス規制が成立。2025年以降、GWP150を超える冷媒を使う新しい商業・産業用設備の販売が禁止され、2029年にはレトロフィット設備も対象となります。
また、冷媒量が多い設備には年間使用料の課金が始まり、冷媒漏れについてもリーク率の上限(商業16%、産業24%)が設定され、報告と迅速な修理が義務付けられます。
今後の展開とインパクト これらの新規制により、自然冷媒(CO2やアンモニアなど)への移行が加速し、冷却設備の設計と運用に大きな変化が起きると予想されます。新設スーパーや冷蔵倉庫などでは、すでに低GWP冷媒の採用が始まっており、環境負荷の低減に寄与する取り組みが進むでしょう。
キーワード
- GWP(地球温暖化係数):温室効果ガスがどの程度地球温暖化に寄与するかを示す指標。数値が高いほど温暖化への影響が大きい。
- 自然冷媒:CO2やアンモニアなど、環境への影響が少ない冷媒。高GWPの代替として注目されている。
- リーク率(漏洩率)規制:冷媒の漏洩を抑制するため、一定期間内の漏洩量に上限を設ける制度。違反すると修理義務が課せられる。