
米国冷暖房機器業界団体「AHRI(空調・暖房・冷蔵協会)」が2025年4月の機器出荷統計を発表しました。
住宅用貯湯式温水器では、ガス式が前年同月比4.3%減の367,604台、電気式が2.6%減の450,168台と、ともに減少しました。ただし、年初からの累計ではガス式が0.7%増と微増傾向にあります。
一方、商業用温水器ではガス式が1.4%減、電気式は1.2%増と、電気式の需要が伸びている傾向が見られます。
温風暖房機については、ガス式が前年同月比で12.7%増の264,259台と大幅な増加を記録。年初からの累計では19.6%増と、冬場を見越した備えが影響していると考えられます。油式は微減ですが、累計では11.6%増です。
セントラルエアコンおよび空気源ヒートポンプの合計出荷数は796,279台で、前年同月比6.4%増。うちエアコン単体は2.8%減の一方、ヒートポンプは18.9%増と大きな伸びを示しています。これは脱炭素化の流れや電化の推進による影響とみられます。
特にBTUH(熱出力単位)別で見ると、家庭用サイズ(64.9未満)の製品で大幅な増加が多く、住宅市場の活発さがうかがえます。
今後の展開とインパクト
ヒートポンプの大幅増加は、再生可能エネルギーとの相性が良く、エネルギー効率と環境対応の両立を実現する技術として注目されています。今後、環境規制の強化や省エネ志向の高まりにより、さらに需要が拡大する可能性があります。一方、商業用大型機器では減少傾向が見られ、需要の集中が家庭用や中型製品にシフトしている兆候も確認されます。
重要キーワード3つの解説
- ヒートポンプ:空気中の熱を活用して暖房や冷房を行う省エネ技術。ガスに比べCO2排出が少ない。
- BTUH(British Thermal Unit per Hour):冷暖房機器の能力を示す単位。数値が大きいほど出力が大きい。
- AHRI(Air-Conditioning, Heating, and Refrigeration Institute):北米の冷暖房業界を代表する団体で、出荷統計や製品性能の基準を提供している。