LG、2030年までに世界トップクラスのHVAC企業を目指す戦略を発表

AI時代に向けた空調技術とB2B拡大で業界リーダーを目指す

2025年7月8日、韓国ソウルのLGサイエンスパークにて行われた記者会見で、LGエレクトロニクスは2030年までに世界トップクラスのHVAC(暖房・換気・空調)ソリューション企業になることを目指す戦略を発表しました。

この戦略の中心は、B2B事業の拡大地域特化型製品の提供です。特に、AIデータセンター向け冷却技術では冷却水やチラーを使った先進システムを展開。2025年には前年度の3倍以上の受注を見込み、冷却技術が主要成長エンジンとなっています。

また、LGは韓国・平沢にあるチラー工場内に「LG AIデータセンターHVACソリューションラボ」を設立し、多様なAIサーバー環境での性能試験を実施しています。さらに、LG U+と連携し、液冷技術の実証テストも進行中です。

この成長を支えるのが「3B戦略」で、社内育成(Build)外部連携(Borrow)戦略的買収(Buy)の3本柱です。最近では、ノルウェーの給湯機器メーカーOSO社の買収により、欧州市場での存在感も強化しています。

非ハードウェア分野でも、AIを活用したエネルギー管理プラットフォーム「BECON」やデジタルツインによる予測制御システムを開発し、ソフトウェア売上比率を10%から20%へと引き上げる計画です。

さらに、インドでは新製品開発部門と年間150万台の生産が可能な新工場を2026年に稼働予定。グローバルサウス地域へのローカライズ戦略を進め、世界43カ国・65拠点の「HVACアカデミー」を2025年末までに70拠点へ拡大する見込みです。

キーワード

  1. HVAC:Heating, Ventilation, and Air Conditioningの略で、空調・換気・暖房を含む総合的な室内環境制御システム。
  2. AIデータセンター冷却技術:高性能サーバーの発熱を効率的に処理するための冷却システム。液冷や空冷方式があり、AI処理の安定性に直結する。
  3. 3B戦略(Build, Borrow, Buy):自社開発(Build)、外部パートナーとの連携(Borrow)、M&Aによる買収(Buy)の3つの手法で企業成長を推進する戦略。
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