ユーロスタットのデータによれば、EUでのエネルギー消費の約50%は冷暖房に使われ、その70%以上が化石燃料（主に天然ガス）によるものです。特に住宅部門では、エネルギー消費の約80%が暖房と給湯に使用されています。
この状況を受けて、近年ヒートポンプが注目を集めています。ヒートポンプはエネルギー効率が高く、再生可能エネルギーや廃熱の利用を拡大する技術です。これらは、暖房、給湯、そして場合によっては冷房にも使用されます。
国際エネルギー機関（IEA）の報告によれば、ヒートポンプの導入により、2030年までにヨーロッパの建物暖房用ガスの需要が少なくとも210億立方メートル減少するとされています。
ヒートポンプ導入の追い風として、RePowerEU計画があります。この計画は、再生可能エネルギーとエネルギー効率の投資を促進し、化石燃料の輸入を削減し、ヒートポンプの導入を加速することを目指しています。目標は、2027年までに1000万台以上のヒートポンプを追加で設置することです。
さらに、エコデザイン規則に基づき、2029年までに独立型ボイラーが段階的に廃止される予定です。これにより、2030年までに2020年と比べて3000万台以上のヒートポンプが追加で導入されることが予想されます。
新しい融資手段としては、8670億ユーロの社会気候基金が、ヒートポンプの導入をサポートします。この基金は、特にエネルギー貧困にある世帯や中小企業向けのヒートポンプの導入を支援するために設立されました。