- ニューヨーク州がGWP20基準を導入し、2034年までにGWP10以下を求める規制を最終化
- ワシントン州は2025年から新規および改修機器に対しGWP150以下を義務化
- 両州とも冷媒使用者に対する課金や漏洩報告義務を導入し、管理体制を強化
高GWP冷媒の段階的排除と冷媒リーク管理で冷暖房設備の脱炭素化を推進
ニューヨーク州は、2024年12月に「6 NYCRR Part 494」改正規則を最終決定し、20年GWP(温暖化係数)基準を導入。特に商業・産業冷凍機器では2026年からGWP580/943超の冷媒を禁止し、2034年にはすべての機器でGWP10超を禁止します。
主な対象機器と規制スケジュール:
- スーパーマーケットや冷蔵倉庫など:2026年からGWP580/943超禁止、2034年からGWP10超禁止
- スタンドアロン機器(中低温):2025年からGWP100で150以上禁止、2034年からGWP20で10以上禁止
- アイスリンク:2030年からGWP10超禁止
- チラーおよびヒートポンプチラー:2030年または2034年からGWP20で20超禁止
- 住宅・小規模商用冷暖房:2026年からGWP700超禁止、2034年からGWP10超禁止
さらに中小企業支援の補助金制度が導入され、特に環境的弱者地域(disadvantaged communities)の食料施設が対象となります。
ワシントン州では、2024年に新規則が成立し、2025年から新規商業・産業用冷凍機器(チラー除く)にGWP150以下を義務付け。既存設備の改修についても2029年から同基準が適用されます。
また、冷媒量200ポンド(約91kg)超の設備に対し課金制度を導入。
- 年間費用:200〜1,499ポンド=170ドル、1,500ポンド以上=初回150ドル+年間370ドル
冷媒漏洩率の上限も定められ、商業冷凍設備で16%、産業用で24%を超える場合は14日以内に修理義務。申請により45〜120日まで延長可能。すべての漏洩はエコロジー局へ報告義務があります。
今後の展開とインパクト
これらの規制は、自然冷媒(CO₂やアンモニア)の導入を促進するものであり、新設施設ではすでにアンモニア冷媒を採用した冷蔵倉庫の建設が進行中です(例:ウェストセネカに建設中の12,343㎡施設)。既存設備の寿命を尊重しつつ、段階的なFガスからの脱却が図られています。
キーワード
- GWP(Global Warming Potential):冷媒などの地球温暖化への影響を示す指標。数値が高いほど気候変動に与える影響が大きい。
- Fガス(フッ素系温室効果ガス):HFCやHFOなど、温暖化に寄与する冷媒ガスの総称。
- 自然冷媒(Natural Refrigerants):CO₂、アンモニア、炭化水素などの環境負荷が低い冷媒。代替冷媒として注目されている。