- EUは2025年6月25日、「クリーン産業支援枠組(CISAF)」を採択し、ヒートポンプ製造への公的支援を容易にしました。
- 工業用ヒートポンプが明確に対象技術として記載され、部品製造などにも補助が可能に。
- 各加盟国は国家支援制度を見直すことで、脱炭素とクリーン技術推進を加速できます。
産業脱炭素化の切り札に:ヒートポンプ製造が国家補助の重点対象へ
欧州委員会は2025年6月25日、新たな国家補助ルール「クリーン産業支援枠組(CISAF)」を正式に採択しました。これは、脱炭素化とクリーン技術の普及を目的とする「クリーン産業協定」の一環として導入されたもので、従来の「TCTF(暫定的危機・移行枠組)」を置き換えるものです。
この新枠組により、ヒートポンプ産業が公的支援の対象として明記されました。特に工業用ヒートポンプは、排出削減とエネルギー効率向上の観点から戦略的技術として位置づけられ、製造や重要部品の生産に対する柔軟な補助が可能になります。
CISAFには以下の補助分野が含まれます:
- クリーンエネルギーの導入加速
- エネルギー多消費産業の電力コスト支援
- 産業部門の脱炭素化支援
- クリーン技術の生産能力確保
- 民間投資のリスク低減
この制度は2025年6月25日から2030年12月31日まで有効であり、加盟国は自国の支援制度をこの新ルールに合わせて調整することが求められます。
今後の展開とインパクト CISAFの採択により、ヒートポンプ産業はクリーン技術分野でのリーダーシップ確保とエネルギー安全保障の向上に大きく貢献できると期待されています。特に製造拠点の拡大や新規投資の呼び込みが進むことで、EU全体のグリーン産業基盤が強化される見通しです。
キーワード
- CISAF(クリーン産業支援枠組):EUが産業脱炭素化・クリーン技術推進のために定めた新たな国家補助ルール。
- 工業用ヒートポンプ:産業工程でのエネルギー効率化を図る大型ヒートポンプ技術。
- 国家補助(State Aid):EU加盟国が戦略産業に対し実施可能な公的資金支援の枠組。