- Enex Technologiesが、自然冷媒R290とCO2を使用したオールインワン間接冷却システムを発表。
- 高温給湯(最大77°C)や同時加熱・冷却を実現し、食品加工や保管に理想的なソリューションを提供。
- HFC/HFO代替として、設置の柔軟性、エネルギー効率、環境性能で新たな業界基準を提示。
最大1MW対応、R290とCO2を活用した安全・高効率の次世代冷凍システム
2025年6月25日、Enex Technologies(イタリア・トレヴィーゾ)は、自然冷媒を用いた革新的な冷凍ソリューション「R290間接システム」を発表した。このオールインワンシステムは、食品の保存および加工施設における冷却ニーズに応えるべく設計されており、最大1MWの容量に対応する。
本システムは、GWP(地球温暖化係数)がそれぞれ0.02と1である自然冷媒R290(プロパン)およびCO2を採用しており、PFASを含まず、欧州のF-Gas規制にも完全対応している。モジュール式設計により、各回路ごとに少量のR290で構成され、安全性と信頼性が向上。加えて、サブクリティカルCO2と水冷式配管システムにより、設置と保守が簡便化されている。
機能面では、-15°Cまでのブライン温度、+48°Cまでの外気温に対応し、既存のHFC/HFOチラーの代替として理想的。また、給湯(解凍・暖房・乾燥・衛生)用途においても77°Cまでの温水を無償で供給できる。高精度な湿度制御や同時冷暖房が可能で、特に多蒸発器冷蔵室や食肉・乳製品加工業などにおけるエネルギー効率とコスト削減に大きなインパクトをもたらす。
EnexはこのR290間接システムの屋外設置に対応し、機械室不要・低騒音対応も特徴。北欧閣僚理事会の報告書によると、自然冷媒導入によりエネルギー消費が最大30%、温室効果ガス排出が最大50%削減できるとされており、同社の技術はこうした持続可能な社会構築に貢献する。
Enexは製品提供に加え、現地およびリモートによる技術支援、予防保守、トレーニング、遠隔監視、部品供給など包括的なサービス体制を整備。また、IQFやスパイラル冷凍機向けを含む自社製造のエアクーラーやブラインクーラー等、豊富なコンポーネント群も強み。
キーワード
- R290(プロパン):GWPが0.02と極めて低く、自然冷媒として安全・高効率に活用される冷媒。可燃性を考慮した設計が求められる。
- 間接冷却システム:冷媒を直接流さず、ブラインなどを介して冷却を行う方式。安全性が高く、多用途に対応可能。
- 同時冷暖房・高温給湯:冷凍・冷蔵と同時に77°Cまでの高温水を供給可能で、ボイラー代替にもなり得る省エネ技術。