- 米国のスーパーマーケット売上は1.8%減、コンビニは12.1%増
- カナダでもスーパーマーケット・コンビニ共に売上減少
- 冷凍・冷蔵保存と倉庫建設市場が持続可能性と技術革新で成長
- 消費者の冷凍食品志向が高まり、食材ロス削減と利便性を重視
- サプライチェーンの安定と脱炭素化が企業に求められる
食品小売市場の変化と冷蔵インフラの需要増加が導く北米食品業界
ATMOレポートによると、2024年米国のスーパーマーケット売上は前年比1.8%減の8299億ドルに減少。一方、コンビニエンスストア市場は12.1%増の455億ドルと好調でした。カナダではスーパーマーケットが4%、コンビニが3.2%の売上減となり、全体的に食品小売の縮小が見られました。
その一方で、冷蔵保存・冷凍設備関連市場は好調で、特にサステナビリティや食品ロス削減に重点を置いた企業の動きにより、冷蔵倉庫の収益は2.3%増の86億ドルとなりました。2023年の世界の冷蔵倉庫建設市場の45%以上を北米が占めており、2024年以降も年平均成長率14%の成長が見込まれています。
この成長の背景には、食品の冷凍流通だけでなく、医薬品や化学製品、データセンターの冷却需要も含まれています。米農務省によると、米国内には2.99億立方フィートの冷蔵容量があり、GCCAによると大手倉庫事業者25社が4.7億立方フィートの温度管理倉庫を提供しています。
経済的にも米国のインフレ率は落ち着きを見せ、2024年8月には年率2.5%にまで低下。サプライチェーンの混乱も改善しつつあり、企業はリスク分散や国内回帰、生産性向上のための技術投資を強化しています。
消費者動向としては、持続可能な商品への支持が高まり、特にZ世代やミレニアル世代は高価格でもサステナブルな商品を選ぶ傾向にあります。冷凍食品の購入が増えた理由の一つとして「食品ロス削減」があり、利便性や保存期間の長さ、栄養価も重要視されています。2024年第一四半期には冷凍食品の小売売上が2.9%に上昇しました。
ただし、実際のサステナブル商品への支出はやや減少しており、企業には脱炭素化やESG(環境・社会・ガバナンス)への対応が一層求められています。冷媒ガス(HFC)の規制強化やESG投資の拡大により、サステナブルなインフラ整備は競争力の源となっています。
キーワード
- 冷蔵倉庫建設(Cold Storage Construction):温度管理が必要な食品や医薬品の保管施設を建設する市場。北米で急成長中。
- サステナビリティ(Sustainability):食品ロス削減や環境負荷軽減など、持続可能な社会実現のための取り組み。消費者や企業の重視ポイント。
- サプライチェーンレジリエンス:供給網の強靭化。労働問題や災害、国際リスクに備えて企業が多角化・再構築を進める動き。