- 米DOEが家庭用ヒートポンプ製造支援に6,300万ドルを追加投入
- インフレ抑制法+防衛生産法で生産力強化と気候対策を両立
- 低GWP冷媒や地域貢献などが支援選考の評価ポイントに
- 最大2,000ドルの税控除が消費者向けに提供中
- 9州が2030年までにヒートポンプ販売比率65%を目指すMOUに署名
バイデン政権、税控除・州連携・防衛生産法を総動員──2030年に向け「クリーン暖房革命」を本格始動
2024年2月16日、米国エネルギー省(DOE)は、家庭用ヒートポンプや給湯機の国内生産促進を目的として、新たに6,300万ドル(約94億円)の資金提供を発表しました。この発表は、2023年11月の1億6,900万ドル支援に続く第二弾であり、バイデン政権が掲げる気候変動対策と製造業の再興を両立させる一手となります。
■ 支援の背景とスキーム
- 資金源:インフレ抑制法(IRA, 2022)+防衛生産法(DPA)発動
- 対象:ヒートポンプ本体・給湯器・周辺部品の米国内製造プロジェクト
- 募集期間:コンセプト提出は3月15日まで、本申請は4月29日締切
- 採択結果:7月に発表予定
■ 選考基準:技術革新から地域貢献まで
申請は以下の基準で審査されます:
- 技術革新性とインパクト:低GWP冷媒の活用が特に評価対象
- 財務健全性
- 地域経済・雇用・公平性への貢献(Community Benefits)
■ 消費者向け支援も同時展開中
IRAを通じて、家庭用ヒートポンプ購入者には最大2,000ドルの税控除が提供されています:
- エアソースヒートポンプ
- ヒートポンプ式給湯器
今後、州単位の補助金プログラムとの連携も強化される見込みです。
■ 9州が2030年へ「販売65%」の共同目標を設定
以下の9州が署名した覚書(MOU)により、2030年までに住宅用暖房・冷房・給湯機器の65%をヒートポンプに切り替えることを目指す:
- カリフォルニア、コロラド、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、オレゴン、ロードアイランド
この9州は全て「U.S. Climate Alliance」に所属し、2023年9月には合計2,000万台のヒートポンプ設置を目標とする共同宣言を発表しています。