Danfoss、新型GSシリーズ冷媒ガスセンサーを発表―漏れ検知義務化

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冷媒転換の時代に必須となるガス検知技術、過酷環境に耐える小型センサーで市場競争がさらに激化

2025年9月17日、Danfoss Sensing Solutionsは新しいDST GSシリーズ冷媒ガスセンサーを発表しました。今回の製品は、特許技術であるトップダウン反転構造を採用し、センサー部分を水や油、埃から守ることで誤作動を防ぎます。また、本体はIP66、コネクターはIP69Kという業界最高水準の防水・防塵性能を持ち、頻繁な高圧洗浄を伴う食品小売や輸送用冷凍機にも適応します。

プロダクトマネージャーのLaís de Oliveira-Röndahl氏は、「GSシリーズは限られた設置スペースと過酷な使用環境という二つの課題を解決する」と説明します。コンパクトな設計で狭いユニットにも組み込みやすく、高い防護性能によってシステム全体の信頼性を高められます。

技術面では、既存のDanfoss A2Lガスセンサーと同じ熱伝導方式を採用しており、幅広い温度・湿度・圧力条件下で迅速かつ正確な漏れ検知が可能です。さらに自己診断機能と自動校正を搭載し、少なくとも15年以上は調整不要で動作することが確認されています。加えて、UL 60335-2-89UL 60335-2-40といった国際安全基準にも対応しており、規制強化が進む冷媒市場で安心して使用できる設計です。

また、GSシリーズはR454B, R32, R454A, R454C, R455Aなど多様な冷媒に対応し、住宅・輸送・食品小売まで幅広い用途に導入可能です。これにより、OEMは柔軟に設計を進めることができます。


なぜ冷媒センサーが重要なのか

冷媒は空調機や冷凍機の中で熱を運ぶ役割を果たしますが、漏れた場合は大きなリスクを伴います。まず、A2L冷媒と呼ばれる新世代の低燃性冷媒は環境負荷が低い一方で、可燃性を持つため漏れを確実に検知することが安全面で欠かせません。さらに冷媒漏れは、システム効率の低下や故障だけでなく、環境規制違反や温室効果ガスの排出につながる可能性があります。

欧米ではこうしたリスクに対処するため、冷媒漏れ検知の規制が強化されています。例えばEUではFガス規制が段階的に厳格化され、特に商業用冷凍機やヒートポンプにおいてガス検知システムの導入が必須となるケースが増えています。アメリカでもUL規格やASHRAE基準が改訂され、住宅・商業空調の分野でA2L冷媒の使用が拡大するのに伴い、センサーの設置が安全確保の条件となっています。

つまり、欧米のトレンドとしては「低GWP冷媒への移行+漏れ検知義務化」が進んでおり、それにより冷媒センサー市場が急成長しています。こうした動きは今後アジアや日本にも波及すると見られており、国内メーカーやシステムビルダーにとっても早急な対応が求められる分野です。


今後の展開とインパクト

冷媒転換が世界的に進む中で、ガスセンサー市場は急速に拡大しています。スイスのSensirion、スウェーデンのSenseair、中国のCubicといった企業も独自方式のセンサーを展開しており、性能・コスト・耐久性の面で競争が激化しています。今後は、小型化と耐久性の両立規制対応のスピード、そして環境負荷の低減が競争の焦点となるでしょう。Danfossの新製品は、こうした課題に対応する強力な選択肢となり、HVACR分野における安全性と効率性の底上げに大きな影響を与えると期待されます。

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