「永遠の化学物質」をめぐる規制強化の動きは一歩後退、それでも消費者製品の禁止は前進
カリフォルニア州議会は、当初大きな期待を集めていたPFAS規制法案(SB 682)を修正し、冷媒業界が強く反対していたFガスを対象から外す決定を下しました。背景には、冷媒や化学産業からの激しいロビー活動があったと指摘されています。
本来この法案は、2035年と2040年にかけてPFASを含む幅広い製品を禁止することを目指しており、特にHFO-1234yfなどから大気中で生成されるトリフルオロ酢酸(TFA)の扱いが注目されていました。しかし「必須使用」という基準が今年削除されたことで、冷媒分野のPFAS規制は大幅に後退しました。
カリフォルニア州はアメリカ最大の人口と経済規模を持ち、同州の環境規制は他州や企業に波及する影響力があります。そのため、今回の方針転換は全米や国際的な冷媒規制の流れにも影響する可能性が高いとみられます。特に天然冷媒への移行を支持する声が強まっている中で、業界の圧力と科学的知見とのせめぎ合いが続くことになりそうです。
重要キーワード3つの解説
PFAS(永遠の化学物質)
分解されにくく環境に長く残る化学物質の総称。健康被害としてがんや免疫障害との関連が指摘されている。
Fガス(フッ素系ガス)
冷媒や発泡剤などに使われるガスの一種。地球温暖化や大気汚染の原因となり、分解過程でTFAを生成する。
必須使用(Essential Use)
代替がなく社会的に不可欠な用途に限りPFASの使用を認める基準。当初はSB 682に盛り込まれていたが削除された。