Trane、新たな冷却ソリューションを発表 ― データセンター向けCRAHとファンウォールでポートフォリオを拡大

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高密度・高負荷環境に対応する空調技術、効率性と信頼性を両立

近年、クラウドサービスやAIの普及により、世界中でデータセンターの数と規模が急速に拡大しています。サーバーやストレージ機器は24時間稼働し続けるため、大量の熱を発生させます。そのため、安定した運用には高効率で信頼性の高い冷却システムが不可欠です。もし冷却が不十分になれば、機器の性能低下やシステム停止といった重大なリスクにつながります。

こうした背景のもと、2025年8月、Trane(トレイン)はデータセンター専用の新しい空調機器シリーズを発表しました。新製品はCRAH(Computer Room Air Handler)Fan Wall Unit(ファンウォールユニット)で、どちらも高密度サーバー環境に対応できるよう設計されています。

CRAHユニットは最大260kWの冷却能力を持ち、コンパクトながら高効率な冷却を実現します。一方、Fan Wallユニットは最大600kWに対応し、大規模な「ハイパースケール」データセンター向けに開発されました。これらは可変速ファン親水性コーティング熱交換器を搭載し、省エネ性と耐久性を両立しています。

さらに重要なのは、これらの空調機器がTraneのSintesis™空冷チラーXStream™水冷チラーとシームレスに組み合わせられる点です。両チラーはHFO冷媒を使用しており、従来のHFCよりも地球温暖化係数(GWP)が極めて低いのが特徴です。これにより、データセンター運営企業は環境負荷を抑えながら信頼性の高い冷却を確保できます。

Traneの製品は欧州で製造され、2022年に傘下に加えたAL-KO Airtechの技術も組み込まれています。また、Traneは欧州全域に広がるサービス網を持ち、定期保守や緊急対応、長期的な効率最適化までサポート。これにより、導入企業は設備の安定稼働とライフサイクル全体のコスト削減を実現できます。

今後、データセンターの冷却需要はAIやIoTの普及によってさらに高まると予想されています。今回の発表は、HVAC業界にとっても重要な意味を持ちます。なぜなら、従来のビル空調や産業用冷却に加え、データセンターという新たな巨大市場が拡大しているからです。Traneの新製品は、この成長分野において持続可能性と効率性を両立する代表的なソリューションとなる可能性があります。


重要キーワード3つの解説

データセンター冷却
サーバー機器から発生する熱を24時間365日制御する仕組み。安定運用の要であり、冷却効率は電力消費にも直結する。

CRAH(Computer Room Air Handler)
サーバールーム内の空気を効率よく循環・冷却する空調機器。コンパクトかつ高効率で、ラック密度の高い施設に適する。

HFO冷媒(超低GWP冷媒)
従来のHFCに比べて地球温暖化係数が大幅に低い冷媒。データセンターを含むHVAC業界の持続可能性に貢献する次世代冷媒。

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