数量制限やバンドル条件を撤廃し、規制強化の中でHVAC市場の安定を確保
Carrier は、次世代冷媒 R-454B の供給体制を刷新し、発注からわずか 2週間での納品 を可能にしました。さらに、最低発注数や上限、他冷媒との同時発注といった制限をすべて撤廃。顧客は必要な量を必要な時に発注でき、在庫管理や計画が柔軟に行えるようになりました。
この背景には、世界的に加速する冷媒規制の流れがあります。従来広く使われてきたR-410Aは地球温暖化係数(GWP)が高く、欧州Fガス規制や米国のAIM Actといった法規制によって段階的な廃止が進んでいます。R-454BはR-410Aの代替として位置づけられ、約78%低いGWPを実現しているため、現行機器からのスムーズな移行が期待されています。
しかし、この移行期には「需要の急増に対して安定供給が追いつかない」というリスクがつきまといます。Carrierは冷媒の確保、シリンダー供給、充填能力の増強に戦略的に取り組むことで、この課題に先回りしました。結果として、顧客は納期や数量に縛られることなく調達できる体制が整い、価格や在庫の不安定さを軽減できるのです。
Carrierの戦略部門ディレクターKim Autry氏は「お客様が必要なときに必要な製品を届けることを第一に考えている。今回の施策はその姿勢を示すものだ」と述べています。
今後、日本でもフロン排出抑制法の強化や国際的な規制との整合性が問われる中で、低GWP冷媒への移行は避けられません。Carrierのように短納期かつ柔軟な供給を実現する取り組みは、日本のHVAC業界にとっても参考になるモデルケースと言えます。特に、大規模設備更新やサプライチェーン安定化の観点から、そのインパクトは大きいでしょう。
重要キーワード3つの解説
- R-454B:低GWPの次世代冷媒。R-410Aの代替として注目され、環境規制に対応可能。性能も近いため既存機器からの置き換えがしやすい。
- 冷媒規制(Fガス規制/AIM Act):欧米を中心に進む高GWP冷媒の段階的廃止を定めた規制。日本の制度強化にも影響を与える。
- 柔軟な供給体制:納期短縮と注文制限撤廃を組み合わせた仕組み。市場の不確実性を減らし、業界全体の移行を加速させる。