フランスSPIEがオランダVoets & Donkersを買収、産業冷却と空調技術で欧州市場を拡大

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食品・医薬分野で需要高まる産業HVACに対応、持続可能な成長戦略へ

2025年8月25日、フランスのCergyで発表された今回の買収は、ヨーロッパでマルチテクニカルサービスを展開するリーダー企業SPIEにとって、今後の成長戦略を左右する重要な一手です。対象となったのは、オランダで長年にわたり産業用冷却や空気処理システムの専門家として知られるVoets & Donkers Koeltechniek B.V.VND Technical Services B.V.です。

ヨーロッパでは近年、食品加工や製薬業界における品質保持・安全基準の厳格化、さらに環境規制の強化が進んでいます。冷却設備や空調システムは、製品の品質と安全性を守る上で欠かせないだけでなく、省エネや二酸化炭素削減の観点からも大きな投資対象となっています。特に産業用ヒートポンプやHVAC(空調・換気・暖房システム)は、持続可能な社会に向けた欧州の脱炭素戦略に直結する分野です。

こうした流れの中で、1963年創業のVoets & Donkersは、食品・酪農、園芸、製薬、倉庫、ハイテク産業など幅広い顧客にサービスを提供し、2024年には3,000万ユーロの売上を記録しました。同社の技術力と顧客基盤を取り込むことで、SPIEは産業冷却と空調の分野で一気に存在感を高めることができます。

SPIE Industry Services部門のディレクター、Joti Hakkert氏は「冷却・冷凍技術、ヒートポンプ、HVACでの拡大は、既存の産業向けプロジェクトと強く結びつき、新たな成長をもたらす」とコメントしています。さらに創業者のPeter Donkers氏も「SPIEの規模とノウハウを背景に、サービスのレベルを一段と高められる」と語り、協業への期待を示しました。

今回の買収は、単なる規模拡大ではなく、欧州の環境政策と産業ニーズに応える持続可能なサービス提供体制の強化を意味します。今後は、食品・医薬分野における冷却・空調需要の高まりを背景に、日本のメーカーや技術パートナーにとっても、欧州市場での協業や技術供給のチャンスが広がる可能性があります。

重要キーワード3つの解説

  • HVAC:Heating, Ventilation, and Air Conditioningの略。工場や倉庫など産業現場での空調・換気・暖房を一体的に管理する仕組みで、省エネや環境対応が特に重視される。
  • ヒートポンプ:外部の熱を取り込み、冷暖房や給湯に活用する省エネ技術。欧州の脱炭素政策の柱として普及が進む。
  • 産業オートメーション:冷却や空調システムを自動制御する技術。効率化や安定稼働に直結し、食品や医薬品の生産現場では不可欠。

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