衛星、センサー、リスク管理を組み合わせ、気候変動対策に新しい仕組みを導入。
2025年8月22日、東京 ― 損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメント、日揮グローバル、Momentickの4社は、日本で初めてとなる損害保険と連携したメタン排出検知ソリューションの提供を開始しました。
背景には、CO₂の28〜84倍の温室効果を持つメタン削減への国際的な要請があります。2021年のGlobal Methane Pledgeでは、2030年までに2020年比で30%削減する目標が掲げられました。また、2025年6月のLNG産消会議でも、バリューチェーン全体での排出削減方針が再確認されました。
この流れを受け、損保ジャパンとSOMPOリスクは2024年からMomentickと衛星実証実験を行い、日揮グローバルはHiGHGuard®サービスや2023年に建設したメタン排出計測技術評価設備を活用してきました。
新ソリューションでは、SOMPOリスクが衛星画像からメタン排出を解析し、リスクレポートを作成。顧客はこれを通じて排出箇所を把握し、対策を検討できます。さらに希望者には、地上センサー・ドローンによる実測やMomentickの解析ソフトも紹介可能です。
今後は、2025年6月に打ち上げられた温室効果ガス観測衛星「GOSAT-GW」のデータを活用し、国環研や環境省の協力を得ながらリスクレポートの精度を高めていく予定です。
これにより、企業は保険と連携した形でリスクを把握しつつ、LNGを含むサプライチェーン全体で脱炭素化を進めることができます。国連のSDG13「気候変動に具体的な対策を」にも資する取り組みであり、将来的には日本発のモデルとして世界展開も期待されます。
重要キーワード解説
- メタン(Methane):短期的にはCO₂より強力な温室効果ガスで、気候変動対策の最優先課題。
- GOSAT-GW衛星:2025年に打ち上げられた最新の温室効果ガス観測衛星。
- MRV:温室効果ガスの測定・報告・検証を行う国際的プロセス。