アポロ・ファンド、独Kelvionを買収へ データセンター冷却市場の熱気高まる

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AI・クラウド時代の冷却ニーズ拡大に向け、世界的熱交換技術企業が新たな成長フェーズへ

米投資会社アポロ・ファンドが、ドイツ本社の熱交換・冷却ソリューション企業Kelvionの過半数株式を取得する計画を発表しました。取引完了は2025年第4四半期から2026年第1四半期の間を予定しており、現オーナーのトリトンは少数株を保持します。

Kelvionは1920年創業、旧社名はGEA Heat Exchanger Groupで、2014年にトリトンによって現在のブランド名に変更されました。事業はデータセンターの空冷・液冷だけでなく、水素製造、二酸化炭素回収、ヒートポンプ、船舶、空調(HVAC)、冷蔵、食品・飲料分野など多岐にわたります。アメリカ大陸、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋に拠点を持つグローバル企業です。

CEOのアンディ・ブランドフォード氏は、「Kelvionは今、業界と地球の未来に不可欠な高成長市場に最先端のソリューションを提供できる体制が整っている」とコメント。アポロ・ファンドのクリーンエネルギーと産業技術分野での深い知見、そして長期的な投資姿勢を評価しました。

アポロのパートナー、ワリード・エルゴハリー氏は、「KelvionはAIやクラウド革命、エネルギー転換、産業再活性化といった大型トレンドの波を捉える絶好の位置にある」と述べています。アポロはすでにデータセンター運営のTierPointや半導体メーカーWolfspeedなどに投資しており、最近ではStream Data Centersの買収やMetaのデータセンター資金支援交渉も進めています。

また、アポロ運営ファンドおよび関連会社は過去5年間で約580億ドルの気候・エネルギー転換関連投資を行っており、Kelvion買収はその流れを加速させる可能性があります。今後、データセンターの高効率冷却市場においてKelvionの存在感は一層高まり、AI普及や再エネ拡大の波とともに事業拡大が見込まれます。

重要キーワード3つの解説

  • 熱交換器(Heat Exchanger)
    液体や気体間で効率的に熱を移動させる装置。冷却や加熱に使われ、データセンターから食品加工まで幅広く活躍する。
  • 液冷(Liquid Cooling)
    サーバーや電子機器を液体で冷却する技術。空冷より効率が高く、AIや高性能計算に不可欠な冷却方式として注目される。
  • エネルギー転換(Energy Transition)
    化石燃料中心のエネルギー利用から、再生可能エネルギーや省エネ技術へ移行する動き。産業構造や投資の方向性を大きく変える要因。
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