冷媒漏えいの影響を数字で見る—直接排出と間接排出の関係

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中規模スーパーの冷凍設備を例に、漏えい率や電力源の違いがCO₂排出量にどう影響するかを可視化。

冷媒による環境負荷は、冷媒そのものが大気に漏れる直接排出と、設備の電力消費による間接排出に分けられます。これらの比率は漏えい率や電力のCO₂排出係数によって大きく変わります。

例として、店舗面積1000〜1500㎡の中規模スーパーマーケットを想定します。冷媒はR404A、充填量は250kg、冷却能力は100kW、年間電力消費量は252,000kWh、使用年数は10年、稼働時間は1日19時間です。R404AのGWPは3920で、廃棄時には90%を回収・再生すると仮定します。

電力によるCO₂排出量は国や地域の発電構成で大きく異なります。例えば、化石燃料中心の国Aでは0.8kg CO₂/kWh水力・風力中心の国Bでは0.04kg CO₂/kWhです。つまり、同じ設備でも、国Aでは間接排出が非常に大きく、国Bでは冷媒漏えいによる直接排出の比率が相対的に高くなります。

漏えい率が高ければ直接排出が全体のCO₂負荷の多くを占めますが、漏えい率が低く電力由来CO₂が多い場合は、エネルギー効率の改善が排出削減の鍵になります。逆に、低炭素電源の国では冷媒管理や漏えい防止が重要になります。

今後の展開とインパクト

  • 発電構成の脱炭素化が進むほど、冷媒管理の重要性が増す。
  • 高GWP冷媒を使う既存設備では、漏えい削減が短期的な最大CO₂削減策となる。
  • 設備更新時に低GWP冷媒や自然冷媒へ移行することで、直接排出リスクを長期的に低減できる。

重要キーワード3つの解説

  • 直接排出(Direct Emissions)
    冷媒が大気中に漏れることで発生するCO₂換算排出量。GWPが高い冷媒ほど影響が大きい。
  • 間接排出(Indirect Emissions)
    設備の電力消費に伴い発電時に発生するCO₂排出。電力源の種類によって排出係数が異なる。
  • GWP(地球温暖化係数)
    二酸化炭素を基準(GWP=1)とした温暖化影響度。R404Aは3920と非常に高く、漏えい時の環境負荷が大きい。

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