JICAの復興支援の一環として、ダイキンが気候技術で教育インフラを再生
2025年7月24日、ウクライナのボルィースピリ市の幼稚園で、最新型のヒートポンプシステムの引き渡し式が行われました。この設備は、日本政府が支援するJICA(国際協力機構)による「緊急復旧・再建プロジェクト」の一環として、ダイキンヨーロッパが提供したものです。
このプロジェクトでは、戦争で損傷を受けた公共施設の再建を目的に、エネルギー・輸送・水インフラ分野の機材が提供されており、ダイキンはその中でヒートポンプ32台、ルームエアコン5台、空気清浄機6台をウクライナ国内の幼稚園、小学校、中学校に供給しました。
式典では、ウクライナのマリーナ・デニシュク副大臣が「ヒートポンプはエネルギーを節約し、子どもたちに快適な環境を提供する先進的な技術です」と感謝の言葉を述べました。
ウクライナの冬は氷点下20℃を超える厳しさがあり、ダイキンのAltherma(アルテルマ)ヒートポンプシステムは、こうした環境下でも安定した暖房を実現します。JICAの川村上級副総裁は「このシステムは、子どもたちの学びの質と教室環境の向上につながる」と述べました。
さらに、夏にはルームエアコンで涼しく、空気清浄機により一年を通して空気の質が保たれるため、教育の場としてより健康的で快適な空間が整います。ダイキンヨーロッパの坪内俊隆社長は、「我々の気候ソリューションを通じて、社会的・環境的課題の解決に貢献できることを誇りに思います」と語りました。
重要キーワード3つの解説
- ヒートポンプ
空気の熱を使って暖房や冷房を行う省エネ機器。ガスや石油を使わずに快適な温度を保てるため、環境にやさしく、特に寒冷地に強い特性を持ちます。 - JICA(国際協力機構)
日本の政府機関で、開発途上国への技術協力や支援を行っています。今回のような緊急支援やインフラ再建もJICAの重要な活動の一つです。 - 教育インフラの再建
戦争で被害を受けた学校や幼稚園の設備を整え、子どもたちが安心して学べる環境を取り戻す取り組み。空調や空気の質も「教育の質」を支える重要な要素です。
今後の展開とインパクト
この支援は単なる設備提供にとどまりません。再建が進むウクライナにおいて、持続可能で安心できる教育環境を整える重要な一歩となります。また、ヒートポンプなどの省エネ技術が広がることで、エネルギー依存の見直しや、環境負荷の軽減にもつながる可能性があります。
さらに、日本とウクライナの友好関係、そして日本企業による国際貢献の姿勢が、世界中の目に触れるきっかけにもなるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- 二相浸漬冷却
サーバーや半導体部品を冷却液に直接浸し、液体が気化と凝縮を繰り返すことで効率的に熱を奪う冷却方式。空冷や一般的な液冷よりも高効率で、AIサーバーなど高発熱機器に向く。 - Opteon™
Chemours社が開発した高性能冷却液シリーズ。環境への負荷が少なく、熱伝達性能と部品との互換性に優れている。今回の認定により、サムスンSSDでの使用が正式に可能になった。 - PUE(Power Usage Effectiveness)
データセンターのエネルギー効率を示す指標。1に近いほど効率が高い。Opteon™による冷却はPUEがほぼ1に迫る性能を実現できる。
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