- 欧州でCO₂システム導入が前年比33%増、95,600施設に拡大
- 食品小売業では導入率30%、プロパン使用の冷蔵機器は1,700万台超
- 新Fガス規制がフロンとPFASを関連付け、自然冷媒導入を後押し
- アンモニア冷媒システムも前年比7%増と成長継続
- 小売大手が2030年Fガス全廃を宣言、規制と企業戦略が一致
CO₂・プロパン・アンモニアが主役に──新Fガス規制と小売大手の脱フロン戦略で加速する冷媒の転換
ヨーロッパは今、冷暖房と冷凍技術の歴史的転換点に立っています。2024年、自然冷媒へのシフトが前例のないスピードで進行し、ヒートポンプ革命とも言える動きが各地で広がっています。
ATMOsphere Market Reportによると、現在欧州では95,600件以上の商業・産業施設がトランスクリティカルCO₂システムを導入しており、これは前年から33%の増加。中でも食品小売業界における導入率は**30%**に達し、2023年の22.9%から大きく前進しました。
この変革の背景にあるのが、2024年3月に施行されたEU改正Fガス規制です。新規制は冷媒の地球温暖化係数(GWP)に厳しい制限を課し、PFAS(永遠の化学物質)と一部フロン類の関連性を明記。これにより、CO₂、アンモニア、プロパンといった自然冷媒の採用が急速に進んでいます。
現在、プロパン(R290)を用いた冷蔵キャビネットは1,700万台以上が欧州全土で稼働中。工業用途では低充填アンモニアシステムも拡大傾向にあり、2023年比で7%増の3,600件に達しています。
この動きは単なる技術革新ではなく、戦略的選択でもあります。ALDI UKやMETROなどの小売大手は、2030年までにFガス全廃を公約。サステナビリティと法規制順守を両立させるため、自然冷媒の採用が業界標準となりつつあります。
ヨーロッパの事例は、クリーンで効率的かつ規制準拠の脱化石燃料社会の実現モデルとして、他地域にも大きな示唆を与えています。
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