韓国の歴史的猛暑が示す世界の冷房市場拡大の可能性

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電力需要の急騰と世論の反発、政府の補助政策は、世界のエアコン産業にリスクと新たな市場機会をもたらしている。

2025年夏、韓国は観測史上最も早い歴史的猛暑に襲われ、電力需要は過去2番目の高水準となる95.99GWに達した。予備電力も一時8.8GWに落ち込み、政府は非常対応を前倒し、韓国電力は全国で訓練を実施した。

こうした状況は市民生活にも直結した。仁川の小学校では、運営費削減のため教室のエアコンを停止したが、保護者の強い反発を受け、わずか1日で撤回された。猛暑の中で、エアコンは「贅沢品」ではなく社会的必需品へと位置づけが変化している。

家庭の負担も深刻で、4人世帯が1日5.5時間エアコンを使うと、月額電気代は約11.3万ウォン(約1.2万円)と春の2倍以上になる。累進課税制により、わずかな使用量の増加で料金が10%以上跳ね上がるため、省エネ型エアコンや効率的な使い方が強く求められている。

この流れは、空調メーカーにとって大きなビジネスチャンスでもある。政府は高効率家電購入への補助金や節電世帯へのキャッシュバック制度を導入しており、省エネ型インバータ機器やスマート冷房技術の普及を後押ししている。

背景にあるのは気候変動だ。世界気象機関によれば、アジアの温暖化速度は世界平均の約2倍。ソウルでは7月に熱帯夜23日間を記録し、全国平均気温も歴代2位の高さとなった。こうした極端気象は今後さらに増える見通しだ。

世界のエアコン産業にとって、これはリスクであると同時に市場拡大のシグナルでもある。快適性・効率性・価格のバランスを提供できる企業こそが、拡大するアジア市場を制する可能性が高い。

重要キーワード

  • 累進課税制(電気料金): 使用量が一定水準を超えると料金単価が急激に上昇する仕組み。
  • インバータ方式: 希望温度を一定に保つ効率的な冷房技術で、旧型より消費電力が少ない。
  • 熱帯夜: 夜間の気温が25度を下回らず、冷房需要を押し上げる要因。

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