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世界で急成長中!自然冷媒が変える冷却業界の未来地図

  • 欧州、北米、日本ではCO₂や炭化水素の普及が急進展
  • 豪州・NZやラテンアメリカでも自然冷媒導入が拡大
  • 欧州は新Fガス規制で自然冷媒化が加速し導入数も大幅増
  • 米国はSNAP 26規制により炭化水素使用が拡大、州規制も進展
  • 日本は補助金制度拡充で中小企業の参入と設備更新が進行中

規制と技術革新が後押しする自然冷媒のグローバルな広がり

ATMOsphere市場レポートによれば、自然冷媒市場は世界中で急速に拡大しています。従来の欧州、北米、日本に加え、オーストラリア、ニュージーランド、ラテンアメリカでも導入が進んでおり、特に炭化水素冷媒とCO₂冷媒を用いた冷却技術が注目されています。

欧州では、新Fガス規制とPFAS規制強化が背景となり、トランスクリティカルCO₂システムを導入した店舗が90,700件(前年比33%増)、炭化水素キャビネットは1,700万台に達しました。特に中央ラック方式の店舗数は1年で27%増加し、導入率は30%に達しました。

北米では、EPAによるSNAP 26規制により炭化水素の最大充填量が引き上げられ、導入が促進されました。CO₂導入店舗は4,100件(前年比40%以上増)、炭化水素キャビネットは460万台に達し、市場浸透率も着実に拡大。特に工業用施設では前年比74%増の870件に達しました。

日本では、環境省による補助金制度が2027年まで延長され、申請手続きの簡素化と補助率の引き上げにより、導入件数が前年比46%増の12,250店舗となりました。冷蔵倉庫でも自然冷媒導入率が43%に達し、継続的な増加が見込まれます。

また、オーストラリアとニュージーランドでは、CO₂システム導入がスーパーを中心に拡大中で、ラテンアメリカでは炭化水素キャビネットが850万台設置されるなど、新興市場でも自然冷媒技術が着実に根付きつつあります。

各国の規制・補助政策の強化により、自然冷媒市場は今後さらに拡大すると予測されており、環境負荷の低い冷却技術のグローバル標準化が進んでいます。

今後の展望:自然冷媒は「持続可能な標準」へ

  1. 規制強化が世界的に加速する
     欧州のFガス規制やPFAS規制を皮切りに、米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本でも高GWP冷媒の使用制限が拡大中です。この流れは他の地域にも波及し、自然冷媒の採用が“規制対応”として標準になる可能性が高い。
  2. 技術革新による普及コストの低下
     CO₂やR290など自然冷媒システムの技術は年々洗練されており、今後さらにエネルギー効率が高く、導入・保守コストが下がることで、中小企業や発展途上国にも広がりやすくなります。
  3. 新興市場での拡大が顕著に
     現在、普及率が比較的低いラテンアメリカ、東南アジア、中東・アフリカ地域でも、国際的な援助や企業の投資により急速に市場が拡大すると見込まれます。
  4. 消費者意識の変化も後押しに
     環境意識の高まりから、小売業界などでは「脱フロン冷蔵」をPRに活用する動きも強まっており、企業ブランド戦略として自然冷媒の導入が選ばれるケースが増加すると考えられます。

重要キーワード3つの解説

トランスクリティカルCO₂システム
CO₂を超臨界状態で使用し、冷却効率が高く、店舗や冷凍倉庫に広く導入される自然冷媒技術。

炭化水素冷媒(R290など)
プロパンなどの天然ガス由来の冷媒。GWPが極めて低く、家庭用から商業用まで幅広く使用される。

Fガス・PFAS規制
フロン類(Fガス)や永久化学物質(PFAS)の使用を制限する国際的・国内的規制。自然冷媒への転換を促進している。

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