高効率ヒートポンプとAIエネルギープラットフォーム「Kraken」で持続可能な家庭用エネルギーを実現
韓国の LG Electronics (LG) は、英国のエネルギー大手 Octopus Energy Group と戦略的パートナーシップを結び、欧州におけるクリーンテック分野の展開を強化します。両社は、LGの高効率ヒートポンプと、Octopus Energyが開発したAIベースのエネルギープラットフォーム「Kraken」を統合し、家庭の暖房・冷房を最適化する共同ソリューションを提供する計画です。
LGエレクトロニクスは2025年9月、ドイツ・ベルリンで開催された国際家電展示会「IFA 2025」で、AIを中核に据えた新しいスマートホーム構想を発表したばかりであり、今回の提携はその延長線上にある取り組みといえます。スマート家電とエネルギープラットフォームを組み合わせることで、欧州市場での存在感を一段と高める狙いが見えます。
この提携は、8月28日にロンドンで調印式が行われ、LGの海外営業・マーケティング統括トップであるThomas Yoon氏、LGEUKのCharles Choi氏、そしてOctopus EnergyのCEO Greg Jackson氏らが出席しました。
Octopus Energyは英国最大のエネルギー事業者で、再生可能エネルギーを活用した電力・ガス供給を行い、ガスボイラーの代替としてヒートポンプ普及をリードしています。また、同社の「Kraken」プラットフォームは、再エネ価格のリアルタイム変動に応じて消費を最適化できる点が特徴です。現在30カ国以上に展開し、約1,000万人の顧客を抱えています。
一方のLGは、廃熱や外気のエネルギーを再利用する高効率ヒートポンプで高い評価を得ています。独自のCoreTechインバータースクロールコンプレッサーを搭載し、省エネ性能と安全性、耐久性を両立。これを「Kraken」と組み合わせることで、消費者は光熱費を抑えつつCO₂排出を削減できる新たな選択肢を得ることになります。
両社はまず英国やドイツなど主要市場で共同ソリューションを展開し、その後は他の国や製品分野にも拡大する方針です。LGにとっては欧州市場でのプレゼンスをさらに高めるチャンスであり、Octopus Energyにとっては革新的なAIプラットフォームを家電製品と組み合わせることで新たな成長機会を得る形となります。
この提携は、欧州の家庭用エネルギー転換に直接寄与するだけでなく、世界的なクリーンテック競争においてLGの存在感を一段と高めるものとなるでしょう。
重要キーワード3つの解説
- ヒートポンプ
空気や地中の熱を利用し、暖房や給湯を行う高効率システム。化石燃料を使うボイラーに比べてCO₂排出を大幅に削減できる。 - Krakenプラットフォーム
Octopus Energyが開発したAIベースのエネルギー管理ソフト。再エネ価格の変動に合わせて最適にエネルギーを利用できる。 - クリーンテック市場
再生可能エネルギー、省エネ機器、電動化など環境負荷を減らす技術市場。欧州は規制と需要の両面で世界をリードしている。
