環境・産業用センサー需要が急拡大、A2Lリークセンサーが成長をけん引。
スイスのSensirion Holding AGは、2025年前半に売上184.5百万CHFを記録し、前年同期比で44.2%の増収を達成しました。特に米国での空調向けA2Lリークセンサーの立ち上げと、中国からの環境センサー需要が業績を大きく押し上げ、主要4市場のうち3市場で50%超の成長を記録しました。一方、自動車市場は欧州の構造的課題の影響で横ばいにとどまりました。
収益面でも大幅な改善が見られ、粗利益率は51.5%、EBITDAは36.5百万CHF(19.8%)と大幅に向上しました。純利益も10.4百万CHFへと黒字転換しており、過去2年間に進めてきた生産性向上やコスト削減策が功を奏しています。また、営業キャッシュフローは前年同期の7.2百万CHFから28.4百万CHFへと大幅に増加しました。
市場別では、医療機器向けが56%増、産業用が69%増、消費者市場が54%増と好調。特に産業用では、環境規制に対応したA2L冷媒用リークセンサーが成長の柱となっています。さらに、同社は小型CO₂センサーの量産を開始し、新たな空気質モニタリング用途への展開も進めています。
今後についてSensirionは、中国の補助金縮小やA2Lセンサー需要の一時的な調整を見込む一方、通期売上320~340百万CHFという見通しを改めて確認しました。これは前年比16~23%の有機的成長に相当します。
また、子会社Sensirion Connected Solutionsを通じ、石油・ガス業界向けのメタン排出モニタリング事業を強化するなど、長期的な成長戦略を推進中です。米国の通商政策や為替動向など不透明要因はあるものの、研究開発とグローバル生産体制の最適化により、中期的な持続的成長を狙います。
重要キーワード3つの解説
- A2Lリークセンサー:環境負荷が低い代替冷媒(A2L冷媒)の使用に伴う漏洩を検知するセンサー。米国市場での需要拡大が収益をけん引。
- EBITDAマージン:企業の利益率を示す指標で、Sensirionは19.8%まで改善。高い収益性を実現している。
- メタン排出モニタリング:石油・ガス産業で注目される分野。IoT技術とセンサーを組み合わせ、環境規制対応と温暖化防止に直結する事業。