米EPA、違法HFC輸入を複数阻止──「スーパー温室効果ガス」対策で国家的取り締まりを強化

  • 米EPAがHFC(高GWP冷媒)の違法輸入を摘発、複数企業に罰金
  • Open Mountain Energyは約20トンのHFCを阻止、CO₂換算で2万トン以上
  • AIM法とキガリ改正に基づくフェーズダウン政策を国家戦略として実施
  • EPAは報告義務違反にも罰金対応し、正確な温室効果ガスデータを重視
  • HFC輸入企業は許可制、違反行為は今後も厳しく取り締まられる

オープンマウンテン社など複数企業に罰金措置、AIM法・モントリオール議定書に基づくHFCフェーズダウンの厳格実施へ

2024年1月29日、米環境保護庁(EPA)は、違法に輸入されようとしたハイドロフルオロカーボン(HFC)の摘発を発表しました。対象は地熱発電企業Open Mountain Energy, LLCなど複数社で、HFCは**二酸化炭素の数百~数千倍の温室効果を持つ「スーパー温室効果ガス」**として知られています。

EPAは、2020年に成立した「米国革新製造法(AIM法)」と「キガリ改正(モントリオール議定書)」に基づくHFCフェーズダウン(段階的削減)を国家的優先課題とし、2023年には約25件の違法HFC輸入を阻止。今回の発表はその一環です。


■ 主な摘発事例と罰則内容

Open Mountain Energy, LLC(ネバダ州)

  • 輸入阻止量:44,092ポンド(約20トン)のHFC
  • 気候影響:CO₂換算で20,600トン(石炭発電で4,008世帯の年間電力相当)
  • 罰金$41,566(約610万円)

Sigma Air, LLC(テキサス州)

  • HFC種別:R-410A(混合型HFC冷媒)
  • 違法輸入量:3,736ポンド
  • 措置:EPAの「迅速和解パイロットプログラム」に基づく初の処分
  • 監視強化対象企業として登録

■ データ報告違反への取り締まりも強化

正確な輸入量データは、HFC削減目標の設定に不可欠です。EPAは以下の3社に対し合計50万ドル以上の罰金を科しました:

  • Combs Investment Property, LP
  • Waysmos USA, Inc.
  • Nature Gas Import and Export Inc.

EPAは、HFCデータの信頼性確保のため今後も報告義務違反を厳格に監視していく方針です。


■ 背景:米国のHFCフェーズダウン政策

  • キガリ改正(2016):先進国は2036年までにHFCを85%削減
  • AIM法(2020):米国版キガリ法、HFC生産・輸入に許可制導入
  • EPA・税関(CBP)協力体制:違法冷媒の監視強化

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