欧州で進むPFAS(パーフルオロ・ポリフルオロアルキル化合物)規制の見直しにより、自動車の空調システムで使われるPFAS系冷媒の扱いに猶予期間が設けられました。EV(電動車)のモバイル空調(MAC)やヒートポンプについては、規制施行日(EiF)から18か月の移行期間と5年の猶予を合わせた「6.5年」まで使用が認められます。一方で内燃機関車(ICE)のMACについては、同じく18か月に加え12年の猶予が与えられ、「13.5年」まで使用が可能となります。
この差は、技術の成熟度と市場の移行可能性を踏まえた政策判断によるものです。EV向けではすでにCO₂やプロパンなど自然冷媒の導入が進みつつあるため、比較的短い猶予で転換が可能と見なされています。ICEでは設計変更やコスト対応に時間がかかることから、長めの猶予が設定されました。
いずれも「EiF」を起点にカウントされるため、規制が実際に発効する時期に応じて具体的な期限が決まります。背景には、従来の温室効果係数(GWP)規制ではカバーできなかったPFAS分解生成物(TFA)の環境残留リスクへの懸念があり、今後も規制強化が見込まれます。今回示された6.5年と13.5年の数字は、企業にとって切り替え戦略を具体化するための重要な基準点となります。
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