Daikin、ロンドンで最新データセンター冷却技術を発表 ― AI時代の省エネと持続可能性を両立

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グリコールフリーのチラー、AI制御、拡張性ある空調で「未来対応型データセンター」へ

世界的にデータセンターの拡張が加速しています。AIやクラウド、エッジコンピューティングの成長により、サーバーから発生する熱負荷は急増し、冷却システムはこれまで以上にエネルギー効率・信頼性・持続可能性が求められるようになっています。

こうした中、Daikin(ダイキン)は2025年9月、ロンドンで開催されるData Centre Dynamics(DCD)で最新の冷却ソリューションを披露します。Daikinの提案は単なる設備更新にとどまらず、AI時代に対応する「スマートで安全な冷却戦略」を提示するものです。

注目は、グリコールフリーのTZ Dシリーズチラーです。従来、寒冷地のデータセンターでは不凍液(グリコール)を用いることが多く、環境負荷やメンテナンスの課題がありました。Daikinはこれを解消し、–20℃から+55℃まで運転可能、オプションで–35℃対応も可能な空冷チラーを開発。さらにフリークーリング機能を統合し、チラー稼働時間やエネルギー消費を削減します。

空調機器では、Pro-C CRAHシリーズ(30〜200kW)とPro-Wファンアレイシリーズ(最大500kW)を紹介。いずれも高効率ECファンや最適化コイル設計を採用し、高密度ラックや大規模ホールの冷却に対応。モジュール設計による冗長性と拡張性を確保し、ミッションクリティカルな環境に適しています。

さらに、iDCM(Intelligent Data Center Manager)という専用制御システムを発表。AIと機械学習を活用し、最大20台のチラーとポンプを最適に制御します。これにより、常に最も効率的な運転組み合わせを選択し、最大20%の省エネ効果を実現。PUEやWUEといった重要指標を改善しつつ、設備寿命の延長や運用コスト削減にも寄与します。

Daikinは低GWP冷媒やリサイクルガス、モジュール設計を採用し、環境規制(F-Gas、MEESなど)への適合も視野に入れています。製品供給からライフサイクルサポートまで自社で一貫提供できる点も強みで、データセンター運営者にとっては長期的な信頼性と持続可能性の確保につながります。


重要キーワード3つの解説

グリコールフリー冷却
不凍液を使わずに広い温度範囲で稼働できるチラー。環境負荷を低減し、メンテナンスコストも抑えられる。

iDCM(Intelligent Data Center Manager)
AIを活用した制御システム。最大20台の機器を効率的に制御し、エネルギー消費を削減する。

PUE/WUE
データセンターの効率を測る指標。PUEは電力利用効率、WUEは水利用効率。改善は運用コストと環境負荷の削減につながる。

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