便利な冷房の代償として広がる有害物質。TFAの環境と健康への影響が明らかに

最近、TFA(トリフルオロ酢酸)という化学物質が世界中の水や空気、食べ物に広がりつつあることが、多くの研究から明らかになっています。このTFAの最大の発生源のひとつが、車のエアコンなどで使われるHFO-1234yfという冷媒ガスです。

HFOは、温暖化対策のために使われ始めた新しいタイプの冷媒ですが、大気中に放出されると、ほぼ100%が短期間でTFAに変化します。このTFAは非常に安定していて、分解されにくく、雨や川の水、地下水、さらには飲料水やワイン、パンなどの食品にも検出されており、人体の血液からも発見されています。

特にヨーロッパでは、TFAの増加が深刻視されており、ドイツではTFAを「生殖毒性がある可能性が高い化学物質」と公式に分類する手続きを始めました。すでにイギリスの川の水からは世界で2番目に高い濃度のTFAが検出され、アメリカでも飲料水や血液から高濃度が見つかっています。

科学者たちはTFAの影響について「まだ決定的な証拠はないが、長期的な健康リスクがあることは確実」として、慎重な対応を呼びかけています。特に胎児や乳幼児に与える影響が懸念され、EUでは規制強化の動きが進んでいます。

TFAを減らすには、原因となっているHFOの使用を見直し、自然冷媒(CO2やアンモニアなど)への切り替えが必要だと指摘されています。また、浄水技術の改良や、食品や飲料の検査体制の強化も急務です。

キーワード

  • TFA(トリフルオロ酢酸)
    HFOなどの冷媒や一部の農薬、医薬品が大気中で分解されることで発生する。非常に安定で分解されにくく、水や土壌、食品、さらには人間の血液にも蓄積される。
  • HFO-1234yf
    次世代冷媒として使われている化学物質。温暖化係数は低いが、大気中でTFAに変わるため、環境負荷が見直されつつある。特に自動車のエアコンで多く使用されている。
  • PFAS(ピーファス)
    「永遠の化学物質」とも呼ばれる、分解されにくいフッ素化合物の総称。TFAもその一種と見なされることがあり、長期的な健康リスクが国際的に議論されている。
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