環境規制と安全ニーズに応える――Haier MRV7 Sと冷媒管理

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UL 60335-2-40, 最新の漏えい検知と制御技術で、快適性と安心を同時に届ける

Haierは欧州市場向けに、新しいVRFシステム「MRV7 S」を発表しました。このシステムは環境負荷の低いR32冷媒(GWP=675)を採用し、EUの新しいF-Gas規制(573/2024)に対応する次世代モデルです。従来のR410Aからの移行を加速させると同時に、省エネ性能を最大17%向上させ、施工や制御の柔軟性も大きく高めています。その中でも注目すべきは、安全性を強化するための漏えい検知機能です。MRV7 Sではすべての室内機にマルチゾーン漏えい検知システムを標準搭載し、万が一冷媒が漏れた場合には視覚と音でアラームを発する仕組みを導入しています。さらに、停電時でも動作するバッテリー駆動の自動遮断弁をオプションで備え、冷媒の流路をゾーンごとに遮断することでリスクを最小化します。これにより、規制への適合だけでなく、実際の運用現場での安心感も大幅に向上しています。

こうした設計は、いま業界全体で高まっている漏えい検知への要求と強く結びついています。空調やヒートポンプに使われる冷媒は、環境に優しい方向へと急速に移行しています。特にプロパン(R290)のようなA3冷媒や、R32のようなA2L冷媒は低GWPで地球温暖化対策には有効ですが、同時に可燃性を持つため、安全確保が大きな課題です。そのため、国際的にはIEC 60335-2-40UL 60335-2-40といった規格で、冷媒漏えい検知システムの搭載や作動基準が厳格に定められつつあります。たとえばUL規格では可燃冷媒が下限可燃濃度の25%に達した時点で検知・対応することが求められており、製品設計における安全の標準になりつつあります。

技術的にも、NDIR(非分散赤外線)方式や光音響分光法など、より高精度で信頼性の高い検知技術が普及し始めており、A2L/A3冷媒の安全運用を支えています。これは単に規制に従うためだけでなく、ユーザーが日常的に安心して空調やヒートポンプを利用できるための不可欠な基盤となっています。実際、米国や欧州では一定量以上の冷媒を扱う設備では技術者に資格が義務付けられており、漏えいが一定基準を超えれば修理や報告が必要になるなど、制度面でも安全確保が徹底されています。

HaierのMRV7 Sは、こうした国際的な流れを背景に、単なる省エネ機器を超えて「安全性そのものを設計思想に組み込んだ製品」として位置づけられます。漏えい検知の高度化とゾーンごとの制御、さらに停電時でも機能を維持できる仕組みは、今後A3冷媒を含むさまざまなヒートポンプ技術が普及していく中での新しい標準の一つとなるでしょう。省エネ、施工の容易さ、快適性とともに、安全を保証する漏えい検知が不可欠な要素となった今、MRV7 Sはその象徴的なモデルとして市場に登場したといえます。

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