住宅から商業施設まで、電化による暖房の未来を切り拓く革新的プラットフォーム
アメリカ・セントルイスに本社を置くコープランドは、2025年8月13日、新たに「YAW」と「YAV」という2つの可変速スクロールコンプレッサープラットフォームを発表しました。この技術は、-25°F(約-31℃)という極寒環境でも十分な暖房能力を発揮できるよう設計されており、これまで寒冷地で課題となっていたヒートポンプの性能不足を大きく改善します。
世界的に、住宅や商業施設での暖房・給湯の電化は脱炭素化の重要な柱とされており、建物による二酸化炭素排出は世界全体の約34%を占めるとも言われています。そのため、従来のガス式暖房から高効率なヒートポンプへの移行が進んでおり、米国では2023年にガス炉よりも21%多くのヒートポンプが販売されるなど、その需要は急速に拡大しています。
しかし、従来のヒートポンプは寒冷地での使用時に補助暖房が必要となることが多く、コストや複雑な設計が課題でした。そこで登場したのが、今回のYAW・YAVプラットフォームです。YAVは部分負荷運転で効率を最適化し、必要に応じて高速運転することで暖房能力を確保します。一方、YAWは新設計のスクロール機構や蒸気注入(EVI)ループに対応し、最大で25%の暖房能力向上と10%の効率改善を実現しました。
今後、これらの技術は米国エネルギー省の厳しい「寒冷地ヒートポンプ(CCHP)基準」への対応を後押しするだけでなく、住宅や商業施設における電化・脱炭素化を加速させる可能性があります。コープランドはOEMメーカーや研究機関と連携し、持続可能で経済的な次世代暖房システムの普及を牽引していくでしょう。
重要キーワード3つの解説
- 寒冷地ヒートポンプ(CCHP)
米国エネルギー省が定めた寒冷地向けの厳しい性能基準。従来のヒートポンプが苦手とした低温下での性能を保証することを目指している。 - 可変速スクロールコンプレッサー
運転状況に応じて回転数を調整できる圧縮機。必要な暖房能力に合わせて効率的に運転できるため、エネルギー消費を抑えつつ快適性を維持できる。 - 電化と脱炭素化
ガスや石油などの化石燃料を使った暖房を電化することで、二酸化炭素排出を削減し、持続可能な社会を実現する取り組み。特にヒートポンプはその中心的存在となっている。
Copeland


Copeland Unveils YAW and YAV Compressor Platforms to Enable the Electrification of Heating for Comme…
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