R1233zdとは何か?

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近年、冷媒の分野では環境規制の強化を背景に新しい選択肢が次々と登場しています。その中で、特に大規模冷凍・空調設備において注目を集めているのがR1233zdです。

R1233zdは新世代のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)系冷媒で、地球温暖化係数(GWP)がわずか1、オゾン層破壊係数(ODP)は0という環境性能を誇ります。さらに非可燃(A1分類)で安全性も高く、大規模施設での採用に適した冷媒とされています。実際にLGが提供する油不要インバーター遠心チラーでは、R1233zdの採用によってIPLV=12.1という非常に高い効率を実現し、従来のR134a(IPLV=10.6)を大きく上回る性能を発揮しています。

他冷媒との比較

まず、自動車分野で広く採用されているR1234yfと比較すると、両者は用途が大きく異なります。R1234yfは自動車のエアコンに最適化されており、既存のR134aシステムに容易に適合するため、規制対応と低コスト導入が可能です。ただし、分類は微燃性(A2L)であるため、設計上の安全対策が不可欠です。

一方のR1233zdは、非可燃(A1)であり、GWPもR1234yf(約4)よりさらに低いため、より厳格な環境配慮が必要な大規模施設向けに適しています。また、R1234zeやR245faと比べてもGWPがさらに低く、実験ではR245faより約6.9%効率が高いという結果も報告されています。

なぜLGのチラーにR1233zdが選ばれているのか?

その理由は大きく4点あります。

  1. 環境性能の高さ
    脱炭素・SDGsを意識した設備投資が増える中で、R1233zdは最も環境負荷が低い冷媒の一つです。
  2. 高いエネルギー効率
    LGのチラーはR1233zdを採用することで従来より効率が大幅に改善し、運用コスト削減に直結します。
  3. 安全性と信頼性
    非可燃であるため火災リスクが低く、特にデータセンターや病院など停止リスクを最小化したい施設に適しています。
  4. 先進技術との相性
    LG独自のLeviTech™磁気軸受チラーと組み合わせることで、摩擦損失を減らしつつR1233zdの性能を最大限に活用できます。

こうした理由から、R1233zdは今後の大規模冷却インフラの標準冷媒となる可能性が高く、LGの事業拡大の重要な柱になっているのです。


重要キーワード3つの解説

  • R1233zd
    GWP=1、ODP=0、非可燃という特徴を持つHFO冷媒。大規模施設のチラーに最適。
  • R1234yf
    自動車用エアコンに主に採用される低GWP冷媒。既存システムに近い特性で置き換えが容易。
  • LeviTech™磁気軸受技術
    LGの油不要チラーに搭載された独自技術。摩擦を抑え、高効率と静音性を両立する。

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