- オーストラリア冷媒協会が、PFASおよびTFAに関する業界への影響を踏まえた声明草案を公表。
- メディアの報道に警鐘を鳴らし、科学的根拠に基づいた冷静な判断を促す内容。
- HVAC&R業界に関わるPFAS規制の現状と複雑性についても整理。
PFASと冷媒業界の交差点で、科学と政策のバランスを求める声
2025年6月26日、オーストラリア冷媒協会(Refrigerants Australia)は、PFAS(ペルおよびポリフルオロアルキル物質)に関する声明草案を公開した。本声明は、PFASが環境中で長期間残留し分解されにくい合成化学物質であるという報道について、「誇張された表現が目立ち、実際の問題はより複雑である」と指摘している。
声明では、PFASおよびその一種であるTFA(トリフルオロ酢酸)に関する科学的知見をまとめ、特に一部のHFO冷媒が大気中で分解してTFAを生成する点について触れている。また、これらの化学物質に対する規制や制限がHVAC&R業界に及ぼす影響についても情報を整理。
協会は、「業界の意思決定および規制の枠組みは、メディアの煽動的な論調ではなく、包括的で根拠に基づいた評価に基づいて行われるべき」と強調。PFASの定義やリスク評価における国際的な見解の違いが、今後の政策に影響を与える可能性にも言及している。
この草案は現在パブリックコメントを受け付けており、最終的な声明は今後の業界方針の指針となると見られている。
キーワード
- PFAS:環境中に長く残る特性を持ち、近年規制の対象となっている人工化学物質の総称。
- TFA(トリフルオロ酢酸):HFO冷媒の大気中分解で生成される副生成物。水溶性が高く、環境残留性が指摘されている。
- HVAC&R業界:冷暖房・換気・冷凍技術を扱う産業分野で、冷媒の選定と規制対応が事業運営に大きく関わる。
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