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HFO冷媒がもたらす新たなPFAS環境リスク:TFAの脅威と規制の行方

  • HFO冷媒は低GWPで普及が進むが、有害な副生成物TFAが問題視されている
  • TFAは環境中で分解されず、水や食品、人間の血中にも広がっている
  • ドイツ政府はTFAに生殖毒性の可能性があるとし、EUでのラベル義務化を提案
  • 最新研究では、TFAが「地球システムの限界」への脅威と位置付けられた
  • 一部専門家は今後8年でHFOは使用不可となり、自然冷媒が主流になると予測

低GWPのHFO冷媒に潜む“永久化学物質”TFAが新たな環境問題として浮上

CFCやHCFCといったオゾン層を破壊する冷媒はモントリオール議定書により全世界で廃止され、温室効果の高いHFCもキガリ改正で段階的な削減が進められています。代替として登場したのが第4世代冷媒「HFO(ハイドロフルオロオレフィン)」で、低GWPかつオゾン破壊係数ゼロとされ、広く普及しつつあります。

しかし、HFOの代表例であるHFO-1234yfは、大気中に漏れると数週間以内に「トリフルオロ酢酸(TFA)」に変化します。TFAは雨とともに環境に浸透し、分解されずに水質や土壌、植物、果物、飲料水、人間の血液中にも検出される「PFAS(永久化学物質)」の一種です。

TFAは除去が非常に困難で、ドイツやベルギー、スウェーデン、アメリカなど各国でTFAの急増が報告されています。特にドイツ政府は2024年にTFAを「胎児への毒性がある可能性がある」として、EU内での注意喚起ラベルの義務化を提案しました。

一方、化学業界はTFAの健康影響を否定し、現在の排出量では「悪影響はない」とする研究結果を発表していますが、独立した科学者や環境団体は「PFAS問題の再来」と警鐘を鳴らしています。

今後、規制当局がTFAのリスクに対応してHFO冷媒の使用を制限する方向に進めば、自然冷媒(CO₂、アンモニア、プロパンなど)への転換が一層求められることになります。

キーワード

  • HFO(ハイドロフルオロオレフィン):第4世代の合成冷媒で、GWPが極めて低いが、TFAを生成するという懸念がある。
  • TFA(トリフルオロ酢酸):HFOが大気中で分解することで生成される物質。環境中に蓄積し、健康リスクも指摘されている。
  • PFAS(永久化学物質):自然界で分解されにくい化学物質群で、人体や環境への長期的な悪影響が懸念されている。
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