- パナソニックが欧州向けに業務用冷凍機ライン「iCORE」と「iCOOL」を発表。
- 自然冷媒CO2と低GWP冷媒A2Lに対応し、環境規制とエネルギー効率の両立を実現。
- 新設のポーランド工場とR&D体制で短納期・高品質を確保し、欧州市場でのリーダーを目指す。
冷媒の未来に応える、持続可能な冷却ソリューションへの第一歩
パナソニック冷暖房ソリューションズは、2025年6月、新たに業務用冷凍機ライン「iCORE」と「iCOOL」を発表した。この発表は、2024年12月のArea Cooling Solutions社(コンプレッサー事業除く)買収およびパナソニック・コールドチェーン・ポーランド(PCCPL)の設立に続く、戦略的な一手である。
PCCPLは、同社の欧州4番目の生産拠点であり、社内R&Dチーム、トレーニング施設、冷却実験室を備え、2026年初頭に本格稼働予定。これにより、地産地消による納期短縮と、欧州ニーズに即した製品開発が可能となる。
新製品の「iCORE」は、自然冷媒CO2(R744)を使用する主力シリーズで、最大29kW(中温)および15kW(低温)の冷却能力を提供。一方「iCOOL」は、HFCおよび低GWPのA2L冷媒に対応し、最大42kW(中温)および14kW(低温)の能力を誇る。両製品とも、省エネインバーター技術を搭載し、長期的な電力削減と環境負荷の軽減に貢献する。
欧州では、2030年までにGWP150以下の冷媒使用が義務付けられるなど、Fガス規制が強化されており、今回の新ラインアップはこの規制への適応を意識して設計されている。また、依然としてHFC/HFO系システムの需要が高い現状を踏まえ、iCOOLは現行のシステムからのスムーズな移行を可能にする柔軟な選択肢を提供している。
パナソニックHVAC事業部のマネージングディレクター、エンリケ・ビラミチャナ氏は「我々の投資と新製品ラインは、欧州の冷却分野でリーダーになるという明確なビジョンに基づいている」と述べた。
キーワード
- 自然冷媒(CO2 / R744):オゾン層破壊係数ゼロ、地球温暖化係数(GWP)が低く、持続可能な冷却技術として注目される。
- A2L冷媒:低GWPで微燃性を持つ新型冷媒。HFCからの移行において重要な選択肢とされている。
- Fガス規制:欧州連合が定めた温暖化ガスの排出規制。冷媒におけるGWPの制限が段階的に強化されており、企業の製品開発に大きな影響を与えている。
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