冬の厳しい寒さでも力を発揮するCCHP、その特徴や基準、選び方を解説
近年、アメリカを中心に注目を集めているのが寒冷地ヒートポンプ(CCHP: Cold Climate Heat Pump)です。通常の空気源ヒートポンプよりも低温環境で高い効率を発揮できるよう設計されており、住宅の暖房を電化する上で欠かせない存在になりつつあります。
CCHPはインバーター技術を活用し、可変速コンプレッサーを搭載しています。これにより外気温が下がってもコンプレッサーを高速運転させ、必要な暖房能力を確保することが可能です。冬は高効率な暖房機として、夏は省エネ型のエアコンとして活躍するため、年間を通して最も効率的な空調システムの一つとされています。
ENERGY STAR® 認定要件
2025年1月から、ENERGY STAR®の基準はVersion 6.2に改定されました。CCHPが認定を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- SEER2(冷房効率)15.2以上
- HSPF2(暖房効率)8.1以上
- 5°F(-15℃)におけるCOP 1.75以上
- 5°Fでの暖房能力が47°Fの70%以上
これらの基準をクリアすることで、真冬でも安定した暖房性能を発揮できることが保証されます。
トレーンの対応機種
米国大手メーカーのトレーンでは、複数のヒートポンプがこの認定を取得しています。代表的なものは以下の通りです。
- 17 Multi-Speed(コストパフォーマンスに優れたモデル)
- 18 TruComfort™ Variable Speed
- 20 TruComfort™ Variable Speed with WeatherGuard™(最高性能と快適性を誇るモデル)
ただし、すべての組み合わせが認定を受けているわけではないため、自宅の気候や空間に最適なシステムを選ぶには販売店との相談が欠かせません。
寒冷地での効率
トレーンの可変速ヒートポンプは、外気温27°F(-3℃)まで100%の暖房能力を維持し、5°F(-15℃)でも70%を確保できるとされています。これは従来のシステムが寒冷地で能力を失いやすいことを考えると、大きな進歩と言えます。地域によって設計温度や効率は異なりますが、寒冷地での暮らしをより快適に支える技術として期待が高まっています。
重要キーワード3つの解説
- CCHP(寒冷地ヒートポンプ)
低温環境でも効率的に運転できるヒートポンプ。インバーター制御で必要な暖房能力を調整し、冬でも快適な室内を実現する。 - ENERGY STAR® Version 6.2
2025年から施行された新基準。冷暖房効率や低温での性能を厳格に定め、環境に優しい製品選びの指標となっている。 - 可変速コンプレッサー
運転状況に応じて回転数を調整できる技術。部分負荷時には効率を高め、極寒時には能力を最大化する柔軟性を持つ。