- 欧州全体でPM2.5・NO₂の大気汚染は減少傾向にある
- 現行EU基準はほぼ達成済みだが、WHO基準は未達成が多数
- PM2.5は依然として都市人口の94%が過剰曝露状態(2023年)
- NO₂の2030年基準は達成間近だが、PM2.5はさらなる対策が必要
- 都市部での強化策が2030年の空気質改善目標の鍵となる
PM2.5とNO₂の基準達成率は上昇──それでもWHOガイドラインとの乖離は依然深刻
欧州環境機関(EEA)が2025年版「大気質報告書」を発表し、欧州全体の大気質は着実に改善しているものの、2030年に向けたEUおよびWHOの厳格な新基準達成にはさらなる対策が必要であることを警告しました。
報告書は、2023〜2024年のモニタリングデータを分析。微小粒子状物質(PM2.5)と二酸化窒素(NO₂)の現行EU基準に対して、99%(PM2.5)・98%(NO₂)の測定局が適合していることを明らかにしました。
しかし、WHOが定める健康ベースの大気質ガイドラインには、ほとんどの都市が未達成。特に都市部ではPM2.5の濃度が依然として高く、2023年にはEU都市人口の94%がWHO基準を超えるPM2.5に曝露されていたとされています。
■ 2030年基準への進捗と課題
- NO₂については7割超の局が2030年目標に適合している一方、
- PM2.5では今なお多くの局が将来基準未達で、都市圏を中心とした対策強化が急務です。
■ 健康影響と政策的示唆
大気汚染は欧州における最大の環境要因による健康リスクであり、呼吸器疾患や循環器疾患、早期死亡に繋がると指摘されています。EEAは、都市の交通・産業・暖房部門での排出削減策をさらに強化すべきだと提言しています。