仏Arkema、米国でHFO 1233zd新生産設備を稼働 低GWP発泡剤と冷媒で断熱・冷却分野を刷新

  • URLをコピーしました!

従来HFCの代替として注目されるHFO 1233zd、建材・家電からデータセンターまで持続可能な用途が拡大

世界的に気候変動対策が加速するなか、冷媒や断熱材製造に長年使われてきたHFC(ハイドロフルオロカーボン)は、温室効果ガスとしての影響が大きいため各国で規制が進んでいます。代替技術の一つとして台頭しているのが、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)と呼ばれる次世代物質です。その中でもHFO 1233zdは、建材や家電用の断熱フォームを製造する際の発泡剤として、また高温ヒートポンプやデータセンターの冷却システム用冷媒として注目を集めています。

こうした背景を受け、フランスの化学大手Arkemaは2022年に約6,000万ドルを投じ、米国ケンタッキー州Calvert Cityの既存HFC生産ラインを最先端のHFO 1233zd設備に改修しました。そして2025年、この年産1万5,000トン規模の新ユニットが稼働を開始しました。

この設備で生産されるForane® 1233zdは、従来のHFCに比べて地球温暖化係数(GWP)を99%削減でき、しかもオゾン層も破壊しないという特徴を持ちます。米環境保護庁(EPA)のSNAP認可を受け、ポリウレタンフォーム用途で幅広く利用可能です。これにより建築断熱や屋根材、家電製造において、性能を保ちながら環境負荷を大幅に軽減することができます。

さらに、この物質は冷媒としても優れ、高温対応ヒートポンプやデータセンター冷却など、エネルギー消費が大きな分野での持続可能なソリューションを提供します。データセンターは今後も急増すると予測されており、環境対応型の冷却技術は不可欠です。Arkemaは世界有数のHFO 1233zd生産者として、米国市場はもちろん、国際的な需要増に応える体制を整えています。

今回の投資は、フォーム業界の低GWP転換と、サーマルマネジメント分野の持続可能化を後押しするものと位置づけられており、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となります。


重要キーワード3つの解説

  • HFO 1233zd:次世代冷媒・発泡剤。従来HFCの代替として低GWP・非オゾン破壊特性を持ち、断熱材や冷却用途で注目。
  • GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数。二酸化炭素を1とした場合の温室効果の強さを示す指標。数値が低いほど環境負荷が小さい。
  • サーマルマネジメント:熱の管理技術。ヒートポンプやデータセンター冷却において、省エネと持続可能性を両立する重要な分野。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Please share!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!