Matterがもたらすスマートホームの変革:IFA 2025で見えた普及の波

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バラバラだったスマートホーム規格を統一するMatter。

スマートホームはこれまで、メーカーやプラットフォームごとに規格が分かれ、互換性に欠けるという問題を抱えてきました。例えばAmazon Alexa対応の機器がGoogle Homeではそのまま動かず、Apple HomeKit対応製品には別のアプリが必要といった具合です。便利さのはずが煩雑さにつながり、普及の足かせになっていました。

そこで登場したのが、Connectivity Standards Alliance(CSA)が主導する「Matter」です。MatterはWi-FiやEthernetに加えて、低消費電力のメッシュ型通信であるThreadに対応し、初期設定にはBluetooth Low Energyを利用します。これにより、異なるメーカーの製品でも同じ「言語」でやりとりできるようになり、ユーザーは気に入った機器を自由に選べるようになります。またZigbeeやZ-Waveといった既存規格の製品も、Matterブリッジを通じて統合可能です。

重要なのは、Matterは通信の基盤であって、AlexaやGoogle Home、Apple Homeのような操作用プラットフォームそのものではないという点です。つまりMatterが共通の土台を提供し、その上で各プラットフォームが音声操作や自動化ルールなどの独自機能を展開するという関係にあります。ユーザーから見れば、一つのMatter対応機器を複数のプラットフォームに同時登録できる「マルチアドミン」の仕組みが利用でき、利便性は飛躍的に高まります。

IFA 2025では、このMatterが具体的な形で目に見えるようになりました。Philips, Samsung, Sonoff, Shelly, BoschなどがMatter対応の製品を披露し、Matterを前提としたエコシステムの広がりを示しました。

そして最後に注目されたのがIKEAです。同社は既存のハブにMatterコントローラ機能を追加し、Matterネットワーク全体を管理できるようにしました。さらに2026年1月には20種類以上のMatter対応製品を投入する計画を発表しており、低価格で幅広いラインアップを持つIKEAらしい普及戦略が注目を集めています。

今後の展開とインパクト

今後は照明やセンサーだけでなく、ドアロックやロボット掃除機、大型家電までもがMatter対応へと広がっていく見通しです。そしてAIと組み合わせることで、家が状況を理解して自律的に動く「文脈理解型のスマートホーム」への進化も視野に入っています。特にIKEAのように誰もが手に取りやすいブランドが参入することで、スマートホームはより一般層に普及し、業界全体の成長を加速させる可能性があります。

重要キーワード3つの解説

Matter
スマートホーム機器のための共通通信規格。異なるブランドやプラットフォームをまたいで利用できる仕組み。

Thread
低消費電力で安定したメッシュ通信方式。ライトやセンサーなど常時接続が必要な機器に最適。

Multi-Admin
一つのMatter対応機器を複数のプラットフォームに同時登録できる仕組み。利便性と柔軟性を高める。

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