LG、サウジNEOM「Oxagon」でAIデータセンター冷却に参入 ― 中東で新たな成長エンジンを模索

  • URLをコピーしました!

脱石油を進める中東でLGがHVAC技術を武器に、AI時代を支えるインフラ市場へ本格進出

韓国のLG Electronicsは、サウジアラビアの巨大都市開発プロジェクト「NEOM」の産業拠点であるOxagonで建設中のAIデータセンターに、先端的な冷却ソリューションを提供することになりました。今回の取り組みは、同社が掲げる「Global South戦略」の一環として、成長著しい中東市場での存在感を強める動きです。

9月初旬、LGのCEO William Cho氏はリヤドでSHAKER Groupおよびデータインフラ企業DATAVOLTと会談し、覚書(MOU)を締結しました。SHAKER Groupは30年来LGと協力してサウジでエアコン事業を展開してきたパートナーであり、DATAVOLTは再生可能エネルギーを活用した大規模データセンターを手がける新興企業です。その旗艦案件であるOxagonのAIデータセンターは、地域最大級となる見込みです。

この協業によりLGは、大型チラーと冷媒分配システムを組み合わせた高効率の熱管理を提供します。さらに将来的には、熱回収システムや直流電源ソリューションを組み込み、データセンターの省エネ化と持続可能性を高める計画です。これはHVAC事業を「AI時代の新しい成長エンジン」として再定義する挑戦でもあります。

また、LGはグループ横断の「One LG Solution」戦略を通じて、バッテリーを扱うLG Energy SolutionやITサービスを担うLG CNSと連携し、データセンターの設計から運用まで包括的にサポートできる体制を整えつつあります。中東の政府主導の大規模開発や産業多角化の動きに合わせ、LGはAI、スマートホーム、B2Bソリューションなど幅広い分野で新たな機会を見込んでいます。

この動きは、単なる空調設備の納入にとどまらず、中東が石油依存から脱却し「次の産業」を模索する中で、LGがインフラの根幹を支える役割を担う可能性を示しています。今後はNEOMを起点に、他国や他地域のデータセンター事業への展開も期待され、同社にとって中東・アフリカ市場がグローバル成長戦略の中核となっていくでしょう。


重要キーワード

  • NEOM Oxagon
    サウジ政府が進める未来都市プロジェクトNEOMの工業拠点で、持続可能な産業やAI基盤の集積地として建設が進んでいる。
  • DATAVOLT
    サウジに本社を置き、再生可能エネルギーを組み合わせたハイパースケールデータセンターを開発する企業。Oxagonに地域最大級のAIデータセンターを計画中。

その他の記事

よろしければフォローお願いします。

Please share!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!