- COP28で「再エネ3倍化」「省エネ2倍化」が国際合意された
- EUはREPowerEU計画で再エネ42.5%、省エネ11.7%を目標に設定
- 2030年に向けて風力・太陽光の導入が大幅に不足
- 7カ国は2035年までに再エネ100%を公約
- 実行力と国際支援がEUの気候リーダーとしての鍵となる
REPowerEU計画の実行力が試される今、EUは世界の脱炭素リーダーとなれるのか?
2025年5月、COP28で掲げられた目標は、国際社会に希望と課題の両方を投げかけました。化石燃料の段階的廃止には正式な合意が得られなかったものの、「再生可能エネルギー容量の3倍化」と「エネルギー効率の2倍化」が明確に示され、初めて化石燃料に直接言及がありました。
この合意の推進役となったのが欧州連合(EU)です。ロシアによるウクライナ侵攻を契機に始まったエネルギー危機を受け、EUは「REPowerEU」計画を策定し、再生可能エネルギーと省エネ強化を軸に据えました。2030年までに再エネ比率を42.5%、エネルギー需要を11.7%削減するという野心的な目標を掲げ、国際社会に影響力を与えています。
しかし実際の進捗は思わしくありません。2023年の法整備を受け、加盟27カ国が国家エネルギー・気候計画(NECP)の改訂に取り組んでいますが、多くが風力・太陽光の導入目標を満たしておらず、省エネ施策も不十分です。2030年のREPowerEUの最低基準達成すら危ぶまれています。
それでも希望は残ります。7カ国が2035年までに再エネ100%を目指す方針を掲げ、先進国としてIEAが求めるネットゼロ達成へ前進中。EUが真の「脱炭素の旗手」となるには、国内の着実な実行と、発展途上国への技術・資金支援が不可欠です。