小型・高効率の熱マネジメントシステムがEV普及に新たな可能性
EVの普及を妨げてきた大きな課題の一つは、冬場に航続距離が大きく落ちることです。バッテリーの冷え込みや車内暖房による消費電力の増加が原因ですが、ZFはこの問題に正面から取り組みました。新たに開発した熱マネジメントシステム「TherMaS」は、冷媒としてプロパン(R290)を採用しています。従来の冷媒に比べて熱効率が高いため、高温でも低温でも安定した性能を発揮しつつ、システム自体を小型化・軽量化することに成功しました。
試験では、冬季の厳しい条件下でも航続距離を最大10%延長し、極端な環境では最大30%延長という結果が出ています。これは、電動車の冬場の使い勝手を大幅に改善する可能性を示しています。さらに、ドライブトレインからの廃熱を効率的に再利用することで、無駄なくエネルギーを活かすことも可能になりました。
今後、各国でEV普及政策が進む中で、こうした熱マネジメント技術は車両選びの決め手になり得ます。特に寒冷地市場を持つ日本にとっても、走行距離の改善はユーザーの安心感を高める重要な要素となるでしょう。もし自動車メーカーがこのシステムを採用すれば、EVの弱点が一つ解消され、普及のスピードを押し上げる可能性があります。
重要キーワード3つの解説
- TherMaS:ZFが開発したEV専用の熱マネジメントシステム。効率的な温度制御で航続距離を改善。
- Propane(プロパン冷媒):熱効率が高く、冷暖房性能に優れる新しい冷媒。環境性能でも注目される。
- Range Extension(航続距離延長):冬場に最大30%まで延びる可能性があるという試験結果。EV普及の大きな追い風。
ZF Press Center


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