- 中国とインドでR290分割型エアコンを年間1,530万台生産。
- R290はHFCに代わる自然冷媒として注目。
- 2050年にはGHG排出量を25%削減できる可能性。
- ガーナやコスタリカなどで導入・技術者育成を支援。
- フィリピンでは全国展開を見据えたトレーナー育成が進行中。
自然冷媒プロパン(R290)を使用した分割型エアコンが注目を集める中、アジア・アフリカ・中南米で導入と技術者育成が進行中
ドイツ国際協力公社(GIZ)は、最新のR290(プロパン)分割型エアコンに関するガイドを発表し、中国とインドが年間約1,530万台の生産能力を持つことを明らかにした。これは、現在の世界市場での普及率に比べればまだ低水準だが、HFC冷媒の段階的削減に向けた「将来性のある唯一の選択肢」として注目を集めている。
このガイドによると、現行の分割型エアコンは年間1,800万トンものCO2換算の温室効果ガス(GHG)を排出しており、そのうち700万トンは冷媒漏れが原因。2050年までに市場が現在の8億5,000万台から37億台を超えると予測される中、R290エアコンが市場の50%を占めれば、GHG排出量を25%削減できる可能性があるという。
生産面では、中国ではAUX、グリー、ハイアールなど主要メーカーがR290への転換を実施し、欧州市場向けに製品を供給。インドではGIZがGodrej & Boyceの製造ラインを支援し、年間30万台のR290機を生産している。
さらに、GIZはアフリカ(ガーナ)や中南米(コスタリカ)での試験導入、設置技術者の安全教育にも注力。フィリピンでは「トレーナーを育てるプロジェクト」を展開し、全国の技術教育機関に知識を広げる取り組みを進めている。
GIZは、「エネルギー効率が高く自然冷媒を使ったR290エアコンへの移行を加速させることが、持続可能な冷暖房産業の鍵となる」と強調している。